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【パリ五輪放浪ダイアリー】牛肉タルタルとセブンズ。どの店、どの国にもそれぞれの味あり。
パリ五輪のマスコット『フリージュ』。滞在中、どんどん愛着がわいてきた

【パリ五輪放浪ダイアリー】牛肉タルタルとセブンズ。どの店、どの国にもそれぞれの味あり。

田村一博


 2023年10月以来のパリ。お世話になっている方からの誘いもあり、オリンピックを現地観戦することにした。
 ラグビーワールドカップが開幕した昨年の9月初旬、パリは猛烈に暑かった。ホテルにエアコンがなかったため、人生で初めて「暑くて死ぬ〜」となった記憶がある。

 今回も覚悟していたけれど、特に序盤は拍子抜けするほど涼しかった。
 さらに、今回宿泊したホテルはエアコン付きで、よく冷える。お陰で、「さむっ」と目覚めることもあった。

 結論。今回のパリは過ごしやすい。アスリートたちは、いい条件に恵まれた。
 だらだらと日々の出来事を書いてみました。

今回のツアーで何度も食べた牛肉のタルタル。こちらは映画『アメリ』の舞台となったお店で食べたもの。(撮影/松本かおり)

満員のスタッド・ド・フランス。声援ボリュームMAX

◆7月23日(火)

 早朝、シャルル・ド・ゴール空港に到着。22日の16時30分頃に羽田を発って香港へ。4時間ほどのトランジットを経て、キャセイパシフィック航空で13時間50分の旅となった。

 計22時間あまり、エコノミークラスでの移動はなかなかハードだった。同じ飛行機に、香港のオリンピック選手たちが乗っており、機内アナウンスでの紹介時には拍手が起こった。
 近くに座っていた女子水泳選手と席を変えたこともあり、俄然、親近感がわく。五輪気分がいっきに高まった。

 パリの空港でWi-Fiをつなぎ、作業をしている間、各国の五輪選手団が続々と到着。開会式(7月26日)の2日前(24日)に競技開始となるラグビーの選手たちはすでに現地入りしているが、この日入りの競技も多かったようだ。
 リムジンバスに乗ってパリ市内へ。ラグビーの会場となるスタッド・ド・フランスの横を通る。すっかり五輪仕様。準備万端のようだった。

 宿泊先はメトロ、ローマ駅の近く。閑静な場所にあった。
 チェックインの際、こちらが日本からと知ると、フロントの若者が、「10月に日本旅行へ行くんだ」と言って、自分の予定している行く先を話し出した。
 東京(池袋、秋葉原、浅草など)、富士吉田、京都、広島、沖縄……あと、どこだっけ。とにかくいろんなところへ行くそうだ。東京での宿泊は新大久保。うちから数分の場所だ。

 遅れてホテルに着いた友人と近くのビストロへ。ビールやワイン、生ハムに牛肉のタルタルなどがうまい、うまい。

 日本を発つ前夜は、札幌でのイタリア戦後に3軒飲みに行き、睡眠不足もあって二日酔い。早朝便で東京に戻り、家と羽田を往復。さらに長旅とくたくたになっていたが、栄養補給で生き返った。
 競技開始へ向け、こちらも準備はできた。

7月24日(水)

 ラグビー競技開始の日。2016年のリオ五輪は女子から始まり、東京五輪は男子から。今回も前回大会に続き、男子が先のスタートとなった。

 街の中にオリンピックの開催を伝える旗などがなびいているものの、開会式がおこなわれる前からなのか、熱気はスタジアムの周囲だけに限られているような気がした。
 ただ、市内の交通規制はあちこちでおこなわれていた。車での移動となるとかなり不便だ。

海苔とサーモン、お新香にも見えるガレット

 スタジアムに向かう前のランチではフランスの郷土料理のひとつ『ガレット』を食べる。
 お菓子のようにも見える食事。お腹いっぱいになるということはないが、これはこれで、うまい、うまい。
 会場近くに着くと、スタジアムに向かう人の列はワールドカップと違い、各国のジャージー姿はあまりいない。フランスを強調しているものや、オリンピック仕様の服を着ている人が多かった。

 開幕戦はオーストラリア×サモア。両チームのメンバーが紹介されると、スタジアムの興奮度が高まる。サモアのヘッドコーチは、ハードタックラーとしてラグビー史に名を刻むブライアン・リマ。その紹介の時にも大きな声援が飛んだ。

 試合は21-14でオーストラリアの勝利。しかし先制点、今五輪のファーストトライをサモアのモトゥ・オペタイが挙げた時には大いに盛り上がった。
 この試合の前半は、大型ビジョンのどこにも試合経過時間やスコアが出されず、いったいキックオフから何分が経ったのか、どちらがリードしているかすら分からなかった。
 しかしそれも後半からは改善され、ひと安心。

 各日ともチケットは売り切れており、大会前、スタジアムには連日6万9000人が詰めかけると報じられた。その通り、スタンドは満員だった。

 その大勢のファンが大声援を送ったのはフランス×アメリカがおこなわれた第3試合。特に大スター、アントワンヌ・デュポンの名前がアナウンスされ、ボールを持つたびにボリュームは最高潮となった。
 この日のフランスはアメリカと12-12、ウルグアイ戦も19-12と全開とはいかなかったが、ファンは十分楽しんだ。

 男子日本代表は、プールAの2試合を戦い、ニュージーランドに12-40、アイルランドに5-40と敗れ、連敗スタートとなった。
 ボールを持てばいいアタックを見せられるのだが、一斉に前に出るディフェンスが機能しない。外で前へ出られた後に崩され、失点を重ねた。

 晩御飯は、ワールドカップの時も通ったラグビー色の濃いレストラン『Le Sous-bock』へ。うまい、うまい。

スタジアムで買うコーラやジュースは競技名入りのリユースカップに入れてくれるが、なかなかラグビーが当たらない

◆7月25日(木)

 この日も男子日本代表は勝てなかった。プールステージの最終戦で南アフリカに5-49。順位決定戦(9-12位決定戦)の初戦でサモアに7-42と敗れた。
 大量失点が続くきっかけは、キックオフボールを相手に取られて防御の時間が長くなっていることが大きい。攻撃にはファンを沸かせるシーンもあるが、2日目も前に出るディフェンスが効果的ではなかった。

 男子2日目の競技開始は14時。1試合について30分の枠がとってあるので、プールステージの各チーム最終戦6試合が終わるのは17時前。そこから3時間空けて、順位決定戦が始まるスケジュールが組まれていた。

 プールステージと順位決定戦のチケットは違うので、両方を観戦するお客さんでも一度外に出される。6万9000人を入れ替えるのだからセキュリティー担当者にとっては大仕事だ。
 リオ五輪の時も同様のシステムだったが、スタジアムの規模が小さかった(約1万5000人)。

男子NZ代表には以前、宗像サニックスに所属していたスコット・カリー(36歳)の姿も。(撮影/松本かおり)

 今回のスタッド・ド・フランスの収容人員は6万9000人とされている。しかし、ラグビーワールドカップの時は約8万だった。
 同スタジアムには可動式のスタンドがある。パリ五輪では陸上競技でも使用されるため、球技時にはピッチ近くまでせり出しているスタンドは収納されていた。

 順位決定戦は20時から。この日の最終試合、準々決勝第4試合のキックオフは22時30分だった。
 この時期のパリは、21時(夜9時)を過ぎてもまだ明るいとはいえ遅すぎるよ。ワールドカップの時も21時キックオフの試合が多かったから、取材を終えてホテルに帰るのが深夜2時近くだったことを思い出した。

 今回はチケットでの観戦。文字媒体では新聞社や通信社は一定数の取材枠があるものの、それ以外、五輪取材はメディアパスがなかなか出ない。
 パスが出てもそれは競技別ではなく一人の記者が複数の競技をカバーしなければならないため、複数の競技が同時にあちこちでおこなわれれば、各社(各記者)はどの競技を取材するか選択しなければいけない。

 たくさんの席がある記者席のデスクは空席だらけ。代表チームの成績が不調なら、当然、メダルが期待されるものや、人気スポーツの方に記者が向かうのは仕方ない。
 競技別の取材枠を作ってくれないかなあ。

アルゼンチン料理店での肉の盛り合わせ

アントワンヌ・デュポン、国民の夢を叶える

 ◆7月26日(金)

 セーヌ川で開会式が実施されるため、この日のラグビー競技はオフ。のんびりした。
 夕方から雨。セレモニーはレストランのテレビで眺めた。

 昼はアルゼンチン料理店で肉を堪能。その後、五輪グッズのメガストアがあるシャンゼリゼ通りへ。ストアの外には入店できぬ人たちが長い列を作っていたものの、せっかくなので並んでみた。
 店内は大勢の人たちでごった返していた。ラグビー・フランス代表の五輪用ジャージー(約1万5000円)が売っていたので購入するかどうか迷うも見送る。

 買い物を終えて歩いていると、いつものように便意に襲われる。ホテルまで2キロちょっと。フランスは地下鉄の駅などにほとんどトイレはなく、公衆トイレも少ない。あったとしても便座がないものも多く、人が並んでいたので急いで歩く決断をした。

 ところが、交通規制でいたるところで道が封鎖されている。最短距離を進みたいのに大回りで道を渡らなくてはいけないケースも。やばいよ、やばい。
 冷や汗をかきながらなんとか間に合うも、ビッグイベントとなるとセキュリティーの問題もあるから街が不便になることを実感。パリに暮らす人は、しばらく不自由な中で生活しなければならない。

 夜は、同行者が美味しいものハンターのためミシュラン店へ。うまい、うまいも、野菜中心だった!

開会式は飲みながらテレビ観戦

◆7月27日(土)

 男子ラグビー最終日。この日もスタジアムはフルハウスだった。
 そして、満員のファンの多くの人たちが望んでいたシーンは、午後8時過ぎに訪れた。準決勝で南アフリカを19-5と破ったフランスは、決勝でフィジーと戦う。

 立ち上がり、あっさりと先制トライを奪われたときは、リオ、東京と連覇している王者が圧倒しそうに思えたが、観客の大声援を受けたフランスは強かった。
 4分57秒にトライを奪って7-7としてハーフタイムを迎えると、いつもより少し早く、後半の最初からアントワンヌ・デュポンが登場。ものすごい大音量の声援となった。

 そして、その背番号11が躍動した。
 すぐに左ライン際を駆け上がり、パスをつないで勝ち越しトライを呼ぶ。自らも5分30秒と7分28秒にトライを奪い、28-7という大勝、金メダル獲得の主役となった。

 試合中、金メダル獲得後と、スタジアムはパーティー会場になった。
「アレー・レ・ブルー」の連呼。
「Qui ne saute pas n’est pas français !」(ジャンプしない奴はフランス人じゃない)と言いながらピョンピョン跳ねる。
 フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」をあちこちで歌い出す。
 2023年ワールドカップでは15人制代表が準々決勝敗退。みんな、この日を待っていた。

金メダルをつかんだ男子フランス代表。大声援が続いた。(撮影/松本かおり)

 男子日本代表は11-12位決定戦をウルグアイと戦った。結果は10-21。
 過去4戦のような大量失点は免れるも勝利に届かなかった。

 試合後、サイモン・エイモー ヘッドコーチは「このグループでのスタート地点から終わりに至るまで、大きな進歩がありました。しかしながら、世界のトップチームと互角に戦うには十分ではなく、特に運動能力的に相手に及びませんでした。しかし素晴らしいアタックシーンを作ることができ、それが日本の子どもたちがセブンズラグビーをプレーし、オリンピックで日本代表としてプレーする野心を持つきっかけになることを願っています」とコメントを出した。

 最終戦、ウルグアイ戦でのトライスコアラーの中には、野口宜裕がいた。2017年に初めてセブンズ代表に選ばれて以来、7年越しで五輪の舞台に立つ夢を叶えた。大会前に「セブンズの価値を高めるためにもメダルを獲りたい」と話していた。その目標を達成できなかったことは残念だろう。

 しかし、長い歳月を経て目指した場所に立ったのは誇りとなるだろう。良いことも、残念なこともあった道程を経験できたことは、今後の人生の糧になる。

 東京五輪のメンバーから落選した時、自分を見つめ直した。
「客観的に自分を見ることができていませんでした。ヘッドコーチの求めていることができていなかった。あれもこれも、となって、ひとつのことを極めることもできていませんでした」

 パリに向け、自分を変えた。
 勝手に解釈するのではなく、指揮官とコミュニケーションを多くとるようにして、自分のすべきことを明確にした。
「自分にはセブンズしかない」と言うのは、この競技が自分に合っていると感じ、初めて代表に加わった時、「(周囲の人たちのレベルの高さを感じて)ここにずっといたい」という感覚を得たからだ。

 早稲田摂陵高校、専大を経て、いまセコムラガッツに所属している。その経歴に勇気をもらった人もいる。
 セブンズ愛は深い。29歳の夏から新たに始まるストーリーも楽しみだ。

コンバージョンキックを蹴る野口宜裕。(撮影/松本かおり)

サクラセブンズ、沈黙の初日。が、2日目から3連勝

◆7月28日(日)

 この日から女子ラグビーが開幕。スタジアムには6万6000人のファンが詰めかけた。
 日曜日ということで家族連れ、子どもたちの姿も多かった。

 好天にも恵まれて暑い。ただ、湿気は少なかったように感じた。水がおいしい。
 2023年のワールドカップでフランスを訪れた際、最初のうちはミネラルウォーターを購入していた。しかし、お金はかかるし、ペットボトルが部屋にあふれるので、すぐに水道水を飲むことに。今回は、最初から水道水で過ごした。無問題。

 最初だけペットボトルを買い、毎日それに水道水を入れる。スタジアムにも持ち込み可能だ。ただ、怪しい液体でないことを証明するため、入り口で飲んでみてと言われる。
 で、こちらが飲む。しかし、指示した相手が見ていないこともある。いい加減なものだ。

 サクラセブンズはこの日、アメリカに7-36、フランスに0-49と大敗を喫した。
 初戦でアメリカ相手に先制トライ(水谷咲良)を挙げたところまでは良かったのだが……相手のパワーと、フランスのファンの大声援に飲み込まれた。

 この日は試合前にモンマルトルを散歩。ランチ後にスタジアムに向かった。試合後はムーランルージュの近くのブラッスリーへ。
 今回のパリでいちばん多く食べたのは牛肉のタルタルだ。どの店も少しずつ違ってうまいなあ。

多くの観光客が集まるムーランルージュ

◆7月29日(月)

 前日の沈黙から、もう一度上を向いて走り始めたことが素晴らしい。
 サクラセブンズはこの日の初戦でブラジルに39-12と快勝。プールCでの最終結果を3位とした(4チーム中)。しかし、前日の失点が大きすぎて8強には入れず。9-12位決定戦へまわった。

 その順位決定戦の初戦では南アフリカに15-12と競り勝った。粘り強い、いつものサクラセブンズの戦いだった。
 前半を5-12とリードされながらも、後半に梶木真凜が2トライを挙げて逆転した。梶木はこの2日目、2試合で4トライ。本来の思い切りの良さ全開だった。

 プールステージと順位決定戦の両方が実施されるため、その合間は3時間。お客さんも完全入れ替えとされる日だ。
 男子2日目に発見した近所の公園へ。自由に使えるデッキチェアを確保し、昼寝で時間をつぶした。

 準々決勝で地元フランスがカナダに14-19で敗戦。前戦のアメリカ戦(31-14)で4トライと暴れたセラフィネ・オケンバも不発だった。
 男子セブンズとのアベック金メダルは成らなかった。

 試合前のランチは、映画『アメリ』の舞台となったブラッスリーにて。またまた牛肉タルタルを食べる。
 サクラセブンズの勝利もあり、試合後に飲んだビールがおいしかった!

観客入れ替えの3時間の時にくつろいだ公園。このデッキチェアの争奪戦が繰り広げられていた。(撮影/松本かおり)

女子NZ、東京に続き金メダル。中国6位。日本も最高位

◆7月30日(火)

 いよいよ女子最終日。昼ご飯はイタリアン。薄いとんかつ(コトレッタ)がうまい。ピザが巨大餃子のようだった。

 スタジアム到着。が、エントランスでアクシデント。手荷物検査でカバンの中のパソコンを見つけた担当者が、「それは持ち込めない。一時預かりで、帰りにピックアップしろ」と言う。

 過去5日間はOKだったぞ。携行禁止品にも入ってないぞ。
 そう訴えても、「基準が変わった。ダメだ」の一点張り。近くにはごっついマシンガンのようなものを持っている警官もいるし、入場を拒否されたら最悪なので渋々従うことに。
 ちなみに同行者はPCノーチェックで入場できていた。

 気を取り直して席へ。なんとこの日は、ボックスシートだった。
 アイルランドの年配の男女ファンやフランスの若者、親子連れらと同じスペースで観戦。快適、快適。隣のボックスはカナダ推しの人たちだった。

 第1試合は5-8位決定戦の初戦、英国×中国。この試合を中国が19-15と制したときには盛り上がった。
 東京五輪では、アジア予選を勝ち抜いて本大会出場。7位に食い込んだ。今大会では、この試合に勝ったことで6位以上が決定。同国にとって五輪史上最高位が決まった(最終的に6位/2016年リオ五輪は出場できず)。本番に強い。

 東京五輪時のチームはスコットランド人、NZなどでコーチを務めていたユーアン・マッキントッシュ ヘッドコーチが率いていたが、今回は中国人のヘッドコーチ。NZセブンズ代表を長く率いたゴードン・ティッチェン氏がハイパフォーマンス・コンサルタントを務めているようだが立派。
 来季からはワールドシリーズのコアチームとして戦うことが決まっている。さらなる進化が期待されそうだ。

 サクラセブンズは9-10位決定戦で前日も戦ったブラジルと対戦し、前戦(39-12)以上の差をつけて38-7と完勝して9位に。リオの10位、東京の12位を上回る、史上最高位でパリでの戦いを終えた。
 全員がのびのびとプレーしていたのが印象的だった。

 試合を終えた選手たちは笑顔で場内を一周し、ファンの声援に応えていた。今回の五輪を最後にトップレベルでのプレーを終える意思を表明していた中村知春は、1番のジャージーの上に13番のジャージーを着て歩いた。目から涙がこぼれるシーンもあった。
 おつかれさま。

 場内一周の選手たちの中には、バックアップメンバーの大竹風美子、辻﨑由希乃(辻﨑はプールステージのフランス戦とブラジル戦に出場)の姿もあった。
 そこにいる14人全員と、今五輪に続く道の中で競り合った選手たちすべての力でつかんだ9位。次の五輪でも史上最高位更新といこう。

現在持つ力を出し切ったサクラセブンズ。(撮影/松本かおり)

 この日、隣のボックス席は一日中楽しそうだった。推しチームのカナダが決勝まで勝ち進んだからだ。
 準決勝でオーストラリアに勝ち、決勝ではNZ相手に前半を12-7とリードした。
 オリビア・アップス主将のリーダーシップが凄い。チャリティー・ウィリアムズの快足も魅力的だった。

 最終的にはアスリート揃いのNZが19-12のスコアで勝ち、東京五輪に続き連覇を果たした。
 後半にミカエラ・ブライド、ステイシー・ワッカがトライを奪い、逆転勝ちだった。

 今回のNZ代表のうち、サラ・ヒリニ、タイラ・キング、テレサ・セテファノ、ポーシャ・ウッドマン=ワイクリフは、2016年のリオから3大会連続で五輪に出場している。

 4人とも当時とは姓が変わった。キングはかつてネイサン=ウォン、ヒリニはゴス、セテファノはフィッツパトリック。ウッドマン=ワイクリフは、2022年に以前チームメートだったレニー・ワイクリフと結婚して現在の姓を名乗っている。

 表彰式が終わった後、NZ代表はハカを披露して大きな拍手を浴びた。
 今大会のトライ王は14回トライラインを超えた、オーストラリア代表のマディソン・レヴィだった。

◆7月31日(水)

 昼過ぎに出る便で帰国の途へ。
 朝、支度をしている途中にコンタクトレンズを入れようとすると右目レンズが保存ケースにない(ハードレンズ)。やばい。
 前夜のことを思い出す。部屋に戻ると寝てしまうので、ホテルのロビーで作業をしたな。あ、その時、終わった瞬間にレンズを外した気がする。
 いそいでロビーへ。座った席の足元を見ると、カーペットの上にレンズ! 誰にも踏まれずよかった。

 香港経由。乗り継ぎも合わせて20時間の旅。偏西風の影響で往路より少し時間が短くて嬉しい(8月1日の夕方に成田到着)。
 香港の空港で海老雲呑麺。パリご飯は美味しかったけど、やっぱりアジアの味は落ち着く。

 帰国後すぐにウォシュレットへ走った。機内とリムジンバスの中で、思いつくまま書いたパリ日記もそろそろ終わり。
『帰国後日本食美味い病』が出て、たくさん食べてしまう日々が始まる気がするなあ。

帰国したらこうなるよなあ

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