![【Just TALK】『きょうは、そういう日だな』と。日野剛志[静岡ブルーレヴズ]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/04/250412_LT-SB_017_AI-1.jpg)
ジャパンラグビーリーグワンの1部で、静岡ブルーレヴズが盛り上がりを生んでいる。
藤井雄一郎監督体制2季目となる今シーズン、開幕3連勝と好スタートを切った。
3月15日には本拠地のヤマハスタジアムで、前年度準優勝の埼玉パナソニックワイルドナイツを22-17で破った。
4月12日の第15節では、ディフェンディングチャンピオンの東芝ブレイブルーパス東京を56-26で撃破。今季の同カードを2連勝とした。いまのところ、直近のファイナリストである2チームの両方に勝っているのはブルーレヴズだけだ。
何より今度の快勝により、6傑によるプレーオフ行きを4番手で決めた。目下12チーム中4位だ。昨季の8位から大きく飛躍しそうだ。
「きょうはクワッガ(・スミス=南アフリカ代表51キャップのフォワード第3列)主将がいなくてもできる(首尾よく戦える)と、(誰もがゲームを)やりながら感じられたと思います。自信になった」
ブレイブルーパスを下した春の東京・秩父宮ラグビー場で、自軍についてそう語ったのは日野剛志だ。
確かにこの日は、ボール奪取能力とリーダーシップに長けるスミスを欠きながら白星を掴んだ。その意味をかみしめる。
ブルーレヴズの前身のヤマハ発動機ジュビロへ2012年に入った日野は、身長172センチ、体重93キロの35歳。最前列中央のフッカーとして、クラブの長所であるスクラムを支えながらスピード、粘り腰でも光る。日本代表5キャップを誇り、2019年にはフランスのトゥールーズに在籍した。
この日は先発して54分間プレー。接点周りにおける突進、鋭い出足の防御と攻守に躍動し、ワイド攻撃を絡めての大量得点をお膳立てした。
——ブレイブルーパスには、1月18日のヤマハスタジアムでの第5節でも34-28で勝っています。今回は…。
「前回、勝ったからと言って受けに回るんじゃなく、『あくまで自分たちは下』と、もう1 回、パンチを打ちに行く。クワッガ主将がいようがいまいが、チームとしてフィジカルの部分で負けちゃだめだ。そう意識しました。前半の入りからそのようにできた。
自分たちのいいところを出せる、やりたいことをやれる時は、どのチームに対してもチャンスがある。それはここまでの成績が証明していて、自信になっている。それが、きょう、出た(発揮できた)。やりながら、『きょうは、そういう日だな』と感じました」

——ブルーレヴズが力を出せる条件は。
「どうなんですかね。僕たちは毎試合、毎試合、同じ準備をするだけなんですけど…。
やっぱり、チャレンジャーの時のほうが強いですよね。
器用な選手やうまくやる選手が多いチームではないので、いろいろと考えすぎたり、受けに回ったりすると弱いな…と思いますが、きょうのブレイブルーパスさん、ワイルドナイツさんという明らかにチャンピオンチームと見られる相手に対して『自分たちの持っているものを思い切りぶつけるだけ!』みたいな時は、力が出やすいのかなと。
自分たちの強みをどう出すか。そこにはあまり、条件みたいなものはない。きょうは雨も降ってないですし!」
——確かにワイルドナイツに勝った時は悪天候でしたが、それは「条件」にはあたらないとわかります。ちなみに、挑む立場であれば元気になるのはジュビロ時代からそうですか。
「基本的には反骨心の多い選手が多い。大学時代にスポットライトを浴びた選手が多いわけでもないですし、外国人選手にしても——チャールズ(・ピウタウ=ニュージーランド代表17キャップ、トンガ代表9キャップを持ち、バックスの複数の位置をこなす)、クワッガという(実績のある)選手はいますが——いまでこそキャリアを積んで素晴らしくなったヴィリアミ・タヒトゥアは、最初は『どこから連れてきた?』という感じでした」
——トンガ代表9キャップを誇るセンターのタヒトゥア選手は、2016年にあったジュビロのニュージーランド合宿へ参加。テストに合格したような形で入団しています。
「マロ(・ツイタマ=ウイング)も、スーパーラグビーで(多くの)経験をしているわけではない(のちに日本代表入り)。そういうルーツを持った選手たちなので、ハングリーに戦える時が強いです。…と、勝手に思っています。僕(同志社大時代に当時のジュビロのトライアウトを受験)もそうですけど、相手がスター軍団の時ほど、何か、いいっすよね」
——2014年度の日本選手権初制覇も、その流れで起こしました。
「そんな感じですね。ただ、いまはまだ4 位。いい時と悪い時の差がはっきりするチームではある。きょうはよかったですけど、(5月中旬以降に)2~3戦連続あるプレーオフで自分たちのラグビーができるか(が大事)。精度を高めていかないと」
——あらためて試合について。スクラムは一進一退に映りました。
「一進一退でしたよ。絶対にあっちも押されたくないし、お互い押し合うというプライドがぶつかり合っていた。変に崩れまくるとかでもなく、押し合った結果そうなったという感じ。ブレイブルーパスさんとは、昔からそのやり合いになる。スコアはこの結果となりましたけど、スクラムに関しては切り離して、反省して、評価しないといけない」
——スクラムへのこだわりを保ちながら、就任2年目の藤井監督による波状攻撃で注目されています。
「藤井さんはどこからでも攻めるという新しいエッセンスを持ってきてくれて、それが浸透してきた。体現できる外国人、日本人も育ってきました。リーグワン4 シーズン目。苦しい時期もぎりぎりで入れ替え戦には回らず、耐えて、やっといい方向に回っている。優勝できるような位置に戻りはじめている。この勢いを逃さず、チームとしてどんどん積み上げていきたいです」
旧トップリーグ時代は3度、準優勝に輝いた。日本選手権で優勝した14年度もトップリーグで準V。以後、5シーズン続けて4強以上に食い込んでいた。
いまは残り3試合あるレギュラーシーズンの終盤戦、さらにはプレーオフで、復権を証明したい。