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3月28日から香港・啓徳スタジアムで開催されている香港セブンズ(HSBC SVNS 2025)の3日目(最終日)。7位決定戦でブラジルと戦った日本は、32-14と快勝して大会の全日程を終えた。
2024年11月30日に始まったHSBC SVNS 2025のドバイ大会で7位となって以来、ケープタウン大会(南アフリカ)で6位、パース大会で5位、そしてバンクーバー大会で史上最高位の4位と、毎大会順位を上げてきた。
しかし香港では、前日のカップトーナメント準々決勝でフランスに敗れ(0-34)、初のメダル獲得はならなかった。

7位はドバイ大会と同じ順位ではある。
ただ4か月が経ち、順位こそ今季スタート時とは変わらないが、本人たち、コーチ陣、そして観戦者も、その中身が明らかに違うことは感じている。
8強に入りたかったドバイの頃。いま乗り越えたい壁は、4強の先へ行く道に立ちはだかっているものだ。
前日のフランス戦。決して自分たちがやってきたことが崩壊したわけではなかった。
ただ兼松由香ヘッドコーチ(以下、HC)は試合後、選手たちに対し、「自分たちのシステムは守れていても、向かっていく気持ちが足りなかったのではないか」と問いかけた。
サクラセブンズは力も自信も高めている。しかし、チャレンジする気持ちを忘れてはいけない。フランスとの戦いは、それを思い出させるものだった。
堤ほの花主将は、大会を「負けた試合もありましたが、内容は悪いわけではありませんでした」と話し、あらためて、自分たちが大事にしているものをもっと強固なものにしていこうと感じたという。

次週のシンガポール大会につながるように、「自分たちがいまできることをすべて出し切ろう」という気持ちで臨んだブラジル戦は、一人ひとりが自分の役割を果たし切るという、このチームの原点に戻れたから完勝できた。
堤主将のトライ後、4分過ぎにはPKから攻めて辻﨑由希乃が好ステップでトライラインに迫り、最後は内海春菜子が5点奪取。
さらにハーフタイムまでに、堤がラインアウトからの攻撃を仕上げ、三枝千晃もディフェンダーを引きずってインゴールに入る。20-0と大きくリードした。
後半に入っても、ターンオーバーから永田花菜がトライを奪うシーンあり、岡元涼葉からのオフロードパスを受けた辻﨑がこの試合でのチーム5人目のトライスコアラーになるなど、それぞれのプレーヤーが持ち味を出し続けた。
前戦の結果を引きずらない、チームのたくましさが見えた14分だった。

これまで勝ったことがないオーストラリアと競り合う展開で迎えたラストシーン。敵陣深くまで攻め込みながらもパスをキャッチできず、逆転への流れを途切れさせた辻﨑は、「この試合の直前まで引きずっていました」と正直な気持ちを吐露した。
「(豪州戦は)勝ち切れたな、と思った試合でした。なかなかない機会をものにしないといけなかったのに、流れを切ってしまったので、くよくよしてしまいました。でも、(今回ツアーに参加できていない)吉野(舞祐)と連絡を取った時に、ここにいられない選手や試合に出られない人のことを考えたら、それではいけないな、と切り替えました」
思いだけでは立て直せないだろう。力も蓄えてきたから、前向きな気持ちに切り替えたら結果も残せた。
辻﨑ひとりだけでなく、チームとしても、試合ごとの反省をすぐに次に生かせるようになっているから成長の道を歩み続けられている。
兼松HCは先を見つめて、「チームとして変化し続けることが大事」と話す。
シンガポール大会は、すぐそこ。香港の7位から順位を上げることを狙うのではなく、メダル獲得(3位以内)へのチャレンジと並行して、新たな一面をサクラセブンズに付け加える。
