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地元メディアのリポーターが、「日本への声援が大きいですね」と堤ほの花キャプテンに伝えていた。
3月29日、香港セブンズ(HSBC SVNS 2025 香港大会)の2日目。C組でのプールステージ第3戦(最終戦)、オーストラリア戦に10-14と敗れたあとだった。
「(今大会3試合目にして)自分たちのラグビーがいちばんできた、いい試合だったと思います」と試合を振り返った堤主将は、「日本を応援する声がだんだん大きくなっているのをピッチでも感じています」と話した。
大会初日を1勝1敗(カナダに負け、スペインに勝利)で終えていたサクラセブンズ(女子セブンズ日本代表)は、この試合でも7点差以内での敗戦でボーナス点を獲得し、3プールの3位チーム中最高位に。
8強が進出するカップトーナメントで戦えることになった。

負けたけれど、自分たちのスタイルを出せたと主将が感じた試合は、先制し、逆転されるも、追い上げる展開だった。
先制トライは永田花菜。ターンオーバーで得たボールをすぐに右サイドに動かし、スピードで走り切った。
最初のトライの直後、リスタートのキックオフから走られてトライを許し、後半3分過ぎには大きくボールを動かされて防御間を走られた。5-14とされるも、4分過ぎに岡元涼葉のロングゲイン後に堤主将が左スミに飛び込んだ。
4点差に迫り、最後の最後まで攻め続けるも、最後はパスがつながらず大声援の中で散った。
初日同様、前後半の開始直後、約90秒守り続け、相手を消耗させたところもサクラセブンズらしかった。大柄なボールキャリアー、スピードあるランナーに苦しみながらもコネクトし続けて守り、アタックでも仕掛ける積極性があった。
しかし、カップトーナメント準々決勝のフランス戦には0-34と完敗した。スタジアムは喧騒に包まれて日本を応援する声が沸くシーンもほとんどなかった。
結果、サクラセブンズは大会3日目(3月30日)、7位決定戦でブラジルと戦うことになった。
今シリーズの初戦、ドバイ大会からの4大会で、7位、6位、5位、4位と、ひとつずつ順位を上げてきた足取りはこれで一時ストップすることになったが、チーム力も停滞したわけではない。
香港での体感を次につなぐ。
フランス戦は、兼松由香ヘッドコーチが「この試合は本当にフランスが素晴らしかった」と話したように、サクラセブンズはつけ入るスキを見つけられなかった。
青いジャージーはタックルを振り解いて走り続け、コリジョンでも圧倒。日本選手がボールを奪い取られるシーンも何度もあった。トライ数は6と0だった。

谷山三菜子は、「あらためて世界のトップ4の壁を感じました。プレッシャーの中で結果を出し続けることが代表として大事ですが、ちょっとしたミスが重なってこういう結果になってしまった」と話した。
「何をどうしたらよかったんだろう。どうしてこんな結果になったか分からない。明日へ向けて、チームのみんなで話さないといけないです」と続けた谷山は、「基本ができないと、こういう試合になってしまう」と試合直後の感覚を口にした。
もう一度、低く、激しくタックルすることを徹底するとした。
また、直近の大会で順調に好成績を続けていたからこそのプレッシャーと、相手の充実による圧力の両方を感じていた。
そんな周囲の期待の高さや、強豪が牙を剥いてくる状況は、チームが世界での立ち位置を高めているからこそ。4強進出はならなかったけれど、世界一のセブンズ大会での痛みは成長を呼ぶのではないか。
まずは3月30日、12時28分キックオフ(日本時間/13時28分)の7位決定戦、対ブラジルで、2日間で得た学びを活かして戦いたい。
来週末はシンガポール大会。香港での最終戦で大きな声援を浴びて勝つことは、シリーズ総合順位で上位を維持し続けることと、次大会へのエナジーとなる。
