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身長も、スキルも、料理も伸びた。廣瀬雄也[クボタスピアーズ船橋・東京ベイ]
「大学時代にキャプテンをやったことが(人生の中で)どう生きるかは、これからだと思います。多くの人と出会い、プレーを見てもらえたことは本当にいい経験になりました」。(撮影/松本かおり)
2025.03.22
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身長も、スキルも、料理も伸びた。廣瀬雄也[クボタスピアーズ船橋・東京ベイ]

田村一博

 正直に身長179センチと書いていた大学時代。2センチ伸びて、いまは正真正銘の180センチ台になったことが嬉しい。

 廣瀬雄也は、「キャプテンのプレッシャーから解放された途端に伸びました」と愉快そうに言った。
 体重も2キロ増えて95キロとなり、体脂肪は減。そんな肉体改造も、試合出場を得られている要因の一つになっているかもしれない。

 2023-24シーズン途中にアーリーエントリーでクボタスピアーズ船橋・東京ベイに加入も、昨春の試合出場はなかった。
 しかし今季は開幕戦で12番のジャージーを着ると、第11節までに10試合に出場。そのうち7試合に先発出場している。

 7戦の先発のうち、10番のバーナード・フォーリー、13番のリカス・プレトリアスとバックスのフロントスリーを組んだ。
 3月22日(土)の横浜キヤノンイーグルスとの試合でもフロントスリ―は同じ顔ぶれだ。

 シーズンも終盤が近くなってきた。スピアーズは3位でイーグルスは6位。プレーオフに進める6枠を考えれば、相手は必勝の気迫で向かってくるだろう。廣瀬は「受けてはいけない。ファーストパンチを出していかないと」と気を引き締める。

 第7節の同じカードでは30-22と勝ったけれど、後半14分にピッチから出た自分のパフォーマンスには納得いっていない。相手のはやいディフェンスに圧力を受け、10番(その時は押川敦治)との息も合っていなかった。
 そんな背景もあり、「今回は準備してきたことを出し切る」と決意する。

 1年ちょっと前にチームに加わった頃、学生時代とは違うレベルにあるリーグワンのフィジカリティの強さ、コンタクトのインパクトに戸惑った。
 その感覚は、今季に向けてのプレシーズン序盤も変わらなかった。

「プレシーズンマッチが始まっても、最初の数試合の時点では、自分がシーズンに入って先発やリザーブに入ってプレーするイメージはなかった」と吐露する。
 しかし肉体改造を進め、コーチとコミュニケーションをとって試合と改善を重ねていくうちに対応力が高まっていった。

第11節の浦安D-Rocks戦は0-22から33-22と逆転勝ち。「試合の中で自分たちで修正し、勝てたことは、この先に活かされると思います」。(撮影/松本かおり)


 そして今季開幕戦の2週間前におこなわれたサンゴリアスとのプレシーズンマッチ最終戦で12番のジャージーを与えられた。「緊張しましたが、結果を残すことができました」。
 だから、いまがある。「フィジカルの強さやプレッシャーの違いに慣れて、自分の強みを出せるようになった」と自己分析する。

 周囲の外国出身選手とは違う強みで勝負する。自分が輝き、生きていく道はそこにある。「ゲームコントロールや判断力。少しハルさん(立川理道)に似た部分をコーチ陣にも期待されていると思っています」とする。
 その一方で、「もともとボールを持って突っ込むプレーは好き」。もっとレベルを上げないといけないと言うが、ペネトレート役やクラッシュすることも厭わない。

「ナード(10番のフォーリー)やリカス(プレトリアス)とのコミュニケーションも、なんとか下手な英語でやっています。でも、そんな状況も自分を高めてくれる。いい環境でラグビーをやらせてもらっています」と感謝する。

 気を張って国内外のトップ選手たちと対峙することを「楽しんでいます。昔から見ている、高いレベルの試合ですから」と表情を崩す。
 試合を重ねる中で、順位や勝ち点を気にする生活も初めてだけど、それも新鮮。「スピアーズに入ったからには、試合に出て、優勝したい。そのためにも12番に定着しないと」と高みを見つめる。

 シーズンが始まって数日後の2024年12月26日には入籍。フィールド外の充実もきっとパフォーマンスを支えているもののひとつ。「奥さんの分もご飯を作っています。料理、楽しいんです。最初は味が濃すぎると言われましたが、4か月もやっていたら手際も良くなって、レパートリーも増えました。きょうはキンピラを作ろうかな」と穏やかに話した。

 体は大きくなり、スキルも高まった。そして心も充たされている。
 活躍するための理由は、周囲の協力を得ながらすべて自分でつかんだ。優勝も同じように手にできたらしあわせだ。

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