![熊谷が青いのは、ちょっと。橋本大吾[東芝ブレイブルーパス東京]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/KM3_8440_2.jpg)
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過去2シーズンに出場したのは32試合。今季(2024-25シーズン)も開幕からの全11試合に出場している。
東芝ブレイブルーパス東京のフッカー、橋本大吾が頼りになる。1月に31歳になった。しかし、ピッチに立てば必ずチームにモメンタムを与えるパフォーマンスを見せる。
前述の計43試合で14試合の先発。先発の原田衛からバトンを受けて、後半にピッチへ出ることが多い。
毎回、すぐに全開で動く。首脳陣が求めていることに応える。原田→橋本、橋本→原田のフッカーリレーは、リーグトップレベルだろう。
そんな感想をぶつけると「もうちょっと僕が頑張らないと」と謙遜気味に話す。
「前半に出ている選手たちがいいラグビーをしてくれて、相手が疲れたところで僕らが思い切ってプレーする。バランスは取れているとは思います」
「2番(のジャージー)を着たい気持ちはあります。プレータイムも(もっと)ほしい」と正直な気持ちを口にする。
しかしチームマン。「(起用法を問わず)23人それぞれに与えられている役割をイメージしてプレーできています」という。
先発でもリザーブでも、ピッチの上で自分がやれること、考えることに違いはない。ただ、「先発は、チームとして準備してきたこと、自分たちがしたいと思っていることをやる。リザーブは(そのときの)戦況によってどうしたらいいかを考えてプレーする」という感覚だ。

後半何分から出場予定と、明確に、事前に伝えられているわけではない。そんな状況の中で出番が巡ってきた時にすぐに全開でブレーできるのは、普段から意識して集中力を高めているからだ。
試合に向けての準備期間中に、練習でおこなわれる各プレーのリハーサル。スタメンは2回おこない、リザーブ組は1回だけということは普通にある。
その限られた機会の中で精度高くやり切ることが、実際の試合でインパクトあるプレーをすることにつながる。
ベンチスタート時、試合中のアップは早めにおこなう。リザーブ組全員で一斉に動く時間もあるものの、自身の「そろそろかな」の感覚をもとに、「いつ呼ばれてもいいように、早めに動き出しています。ハーフタイムにめちゃくちゃ走り、体と肺を温める時もある」。
今季ここまでを振り返ると、開幕から3戦連続で先発した後、ベンチから早めに投入される時期があり、ここ2試合は遅めの投入となっている。
橋本のプレータイムは、2024年度の日本代表活動を通して力を伸ばす原田衛のコンディション、パフォーマンスと密接に関係がある。
チームメートで、ポジションを争うライバル、後輩でもある原田は、自分をより高め、奮い立たせてくれる存在。「お互い、自分の仕事に集中している」と話す。
「どっちが先に試合に出ようが、2人とも同じことを考えてプレーしていると思います」の言葉から、チームとしてやるべきことが定まっていることが分かる。
筑波大からチームに加わったのは2016年。現在はプロ選手として活動している。「振り返れば、若い頃は甘いところがあったかもしれません。(年齢を重ねて)ラグビーのことをよく考えるようになった」と話す。
最近の自分を「得意な部分を伸ばそうと取り組んでいます。ボールキャリー時の判断やパスの精度を上げられています」と見ている。
有難いことに、コーチ陣が提供してくれる練習メニューが刺激になる。
新任のユアン・マッキントッシュBKコーチは、プレー時の『見る』ことや、細かいスキルに対してのアプローチがうまい。視界を制限するサングラスを使い、ハンドリングスキルを高める練習メニューを考える。ゲームライクなその取り組みにより、自分も周囲もスキルフルになっている。

森田佳寿コーチングコーディネーターの指導もFWの動きを高めてくれている。特にタイトファイブのハンドリングが良くなった。
狭いスペースでの2対1の判断が確かになった。ディフェンダーの体の向きがスクエアーか否かを見極めて、パスを放るか、パスダミーから走るかを瞬時に判断する練習を繰り返してきた。その成果は、試合の中に反映されている。
キャプテンやバイスキャプテンなどの役職こそないが、リーダーグループの一人としてディフェンスを担当する。そして、自然体でチームを引っ張る。
「(リーグワン)連覇を意識していないと言ったら嘘になりますが、トディ(ブラックアダーHC)も言っているように、日々良くなっていく先に優勝はあると思っています。試合ごとに、より良くなって勝ち進むマインドセットです」
同い年でフッカーの坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、中村駿太(横浜キヤノンイーグルス)には「負けたくないですねー」と言う。「同じ府中のサントリーにも」。
ワイルドナイツも特別な思いがある相手だ。深谷高校卒も、出身は熊谷。「実家に戻ると街が青い」と、ワイルドナイツカラーが目立つことに苦笑する。
3月22日(土)、秩父宮ラグビー場でその相手と対戦する。16番のジャージーは、勝利の瞬間をピッチで迎えるつもりでいる。