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【スーパーラグビー・パシフィック】第6節の大一番! 崖っぷちの昨季王者ブルーズ、好調クルセイダーズに挑む。
期待値の高いクルセイダーズのNO8クリスチャン・リオ・ウィリー。187センチ、105キロの26歳。(撮影/松尾智規)

【スーパーラグビー・パシフィック】第6節の大一番! 崖っぷちの昨季王者ブルーズ、好調クルセイダーズに挑む。

松尾智規

 スーパーラグビー・パシフィックは、シーズン序盤戦を終え中盤戦に差し掛かった。
 第6節(3月21~23日)も白熱しそうな対決がいくつかある。3月22日(土)のハイランダーズ×レッズ、同日おこなわれるワラターズ×ブランビーズが盛り上がりそうだ。
 最も注目となるカードは、同日にオークランドのイーデンパークでおこなわれるブルーズ×クルセイダーズの因縁のライバル対決だろう。

 両軍の対決は1996年にスーパーラグビーが発足されるまで、ニュージーランド(以下、NZ)国内の大会で最もレベルの高い NPC(NZ国内の州代表選手権)で数々の名勝負を繰り広げてきた。オークランド(ブルーズ地区)とカンタベリー(クルセイダーズ地区)の間には、NZ最大のライバル関係があり、スーパーラグビーでもそれは変わらない。

 昨季の王者ブルーズは、序盤戦で苦戦を強いられている。5節を終わった時点で9位(1勝4敗)と下位に沈んでいる。
 レギュラーシーズンは16節ある。まだまだ試合が残っているとはいえ、今季のプレーオフ進出は2チーム削減され、6チームとなった。ブルーズは8節にハリケーンズとの再戦を控えており、10節では敵地で2度目のクルセイダーズとの対戦。11節は敵地でレッズと戦い、13節はホームでめっぽう強いフィジアン・ドゥルアとの試合のため敵地に乗り込む。
 今季は各チームの差が縮まっている事から、どの試合も簡単に勝利とはいかない。今回のクルセイダーズ戦はマストウィンの状況に近い。

「先週(チーフス戦)は最高水準の試合でした。我々はこれからも向上し続け、クルセイダーズにとって、そして今大会において大きな脅威となると確信しています」とバーン・コッターHCは語る。
 チーフス戦(31-32)は終盤のミスもあり逆転には至らなかったが、手応えがあったようだ。
 一方のクルセイダーズは、昨季の大不調から今季は復活の兆しを見せている。5節を終わった時点で2位(3勝1敗)と好位置につけている。
「結果だけを見れば、彼らは(ブルーズ)失望しているだろうし、勝利を求めているはずだが、彼らはいいプレーをしている」とペニーHCは語る。これまで実力を発揮できてないブルーズが目を覚ました時の脅威を警戒しているようだ。
 昨季とは逆の立場での対決となる中、今後の行方を占う重要な試合。NZ国内での注目度は非常に高い。

◆ブルーズは、ソトゥトゥ復帰、10番ペロフェタ、プラマーはベンチへ。


 毎週水曜日は各チームの試合登録メンバーの発表の日になっている。今週も予定通りに3月19日(水)にメンバー発表があった。
 ホームのブルーズのメンバーは、NO8ホスキンス・ソトゥトゥが先発メンバーに戻ってきた。今季は膝のケガで出遅れ、復帰後、危険なプレーにより2試合の謹慎処分となっていた。ソトゥトゥの不在がFWに勢いを取り戻せなかった要因と言えるだけに、昨季大会MVPの復帰がチームに追い風をもたらすか注目される。

チームの公式『facebook』より

 先週の試合直前に欠場となったPRオファ・トゥンガファシ、FL/NO8キャメロン・スアフォアは今週も欠場。その影響が気になる。

 BK陣を見ると、SO/FBボーデン・バレットの手の骨折による離脱もあり、10番ハリー・プラマーの起用が継続されると思われた。しかし、前週のチーフス戦で途中出場、復帰したSO/FBスティーヴン・ペロフェタが大一番で10番に託された。
 結果、昨季、大躍進したプラマーがベンチ降格したのは興味深い。

 主力にケガ人が多く出ている中で、イキの良い若手が出てきた。前週スーパーラグビーデビューにして印象的なパフォーマンスを見せたCTBザヴィ・タエレが2週連続で12番のジャージを着る。ケガ人が多い中、チームの救世主的存在となれるか注目だ。
 さまざまなポジションを高いレベルでこなすコーリー・エヴァンスは、前週印象的なパフォーマンスでトライを奪った。その結果2試合連続で先発の座を勝ち取った。若い2人に期待がかかる。
 11番ケイレブ・クラークが前週の急な欠場から先発に戻ってきたのは嬉しいニュース。調子を上げてきている14番マーク・テレアとのオールブラックスコンビでトライを重ねたい。

好調なブルーズFBコーリー・エヴァンス。写真はプレシーズンマッチ時のもの。(撮影/松尾智規)


◆クルセイダーズは、一貫性のあるセレクションを継続。


 昨季のクルセイダーズは、不調の要因の一つとして選手起用が挙げられていた。今季は、指揮官ロブ・ペニー(HC)によるセレクションが慎重になっている様子がうかがえる。先週休養させた選手たちを大一番でメンバーに戻してきた。

 最も話題となったセレクションは、前週のフォース戦で5トライを挙げたWTBマッカ・スプリンガーをベンチスタートとし、前週休養のWTB/FBチェイ・フィハキを先発に戻したことだ。NZ国内のメディアやラグビーファンをざわつかせた。
 ペニーHCは、「前週(レッズ戦)、チェイ(フィハキ)は、ほとんどマン・オブ・ザ・マッチだった。マッカ(スプリンガー)にチャンスを作った。マッカはそのチャンスを生かし、そして今、我々はチェイをそのポジションに復活させた。とてもシンプルなことだ」とメディアに説明した。

チームの公式『facebook』より

 1~4番にオールブラックスが並び、5番には今シーズンの活躍で評価を上げているLOアントニオ・シャルフーンが引き続き先発の座を掴んでいる。
 チームの好調を支えるFW第3列は、休養明けのカレン・グレイスが6番。イーサン・ブラカッダーのケガにより今週もトム・クリスティーが背番号7で先発する。そしてNO8には代表入りが近いクリスチャン・リオ・ウィリーと頼もしい布陣となっている。
 今季は出場機会に恵まれていないクリスティーは試合に飢えている。大一番で持ち味の高いワークレートを発揮できるか。

 BK陣を見ると、前週にケガから復帰、素晴らしいパフォーマンスを見せたCTBブレイドン・エノーは、トレーニング中にハムストリングを負傷して再びケガ人リストになった。長期の離脱から復帰したばかりだった。代わりにキャップホルダーのダラス・マクロードが13番を付ける。
 ベンチに目を向けると、開幕戦で足首を負傷したSHノア・ホッザムがケガから復帰してベンチ入り。LOクインテン・ストレンジもケガから戻ってきた。そして毎試合後半から出場し、印象的なプレーを見せている元ワラビーズのSOジェームズ・オコナーがこの試合でもベンチスタート。キャップホルダーのPRジョージ・バウアーもいる。先発メンバー同様に強力な控え選手がずらりと並ぶ。

高いワークレートに期待がかかるクルセイダーズのFLトム・クリスティー。(撮影/松尾智規)


◆注目マッチアップ。


◎ホスキンス・ソトゥトゥ×クリスチャン・リオ・ウィリーのNO8対決
 オールブラックス返り咲きに燃えるソトゥトゥ、初のオールブラックス入りを目指すリオ・ウィリーの対決は代表のセレクションマッチと言えるか。

◎マーク・テレア×セブ・リースのWTB対面対決
 決定力抜群の両者の対決は必見。見ごたえのあるアタックより、大一番で両者のディフェンスがカギを握るか。

◎SO/CTBハリー・プラマー × SOジェームズ・オコナーのスーパーサブ対決
 能力がありながらベンチスタートの両者が、後半からインパクトを与えることは間違いないだろう。僅差になればゴールキックの出来で勝利が決まる。キック対決にも注目だ。

 両軍の決定力あるバックスリー(WTB/FB)を活かせるかどうかにかに注目が集まる。それには高いボール支配率と、速い展開に持ち込むためのFW戦の優勢がマストになってくる。
 今季、安定感に欠けるブルーズのセットピース(スクラム、ラインアウト)は、前週は改善が見られた。クルセイダーズ戦でも引き続き安定できれば試合が面白くなりそうだ。

 一方でクルセイダーズのFW陣は、安定したセットピースに加えて泥臭さが戻ってきている。ブルーズも昨季のような泥臭さが戻ってくれば白熱した試合になる。

 ホームの観客を味方にブルーズが勝利をつかむか。それともクルセイダーズがブルーズの息の根を止めるのか。3月22日のオークランドの夜は熱い日になるだろう。




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