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【Just TALK】「技術というよりメンタル」。松島幸太朗[東京サントリーサンゴリアス]
今季初先発だった3月16日の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦(第11節)。22-34で敗れた。©︎JRLO
2025.03.21
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【Just TALK】「技術というよりメンタル」。松島幸太朗[東京サントリーサンゴリアス]

向 風見也

 厳しい現実と向き合う。

 ラグビー日本代表55キャップの松島幸太朗は、3月16日、東京サントリーサンゴリアスのフルバックとして国内リーグワン1部の第11節で今季初先発。前半35分にはトライに繋がる好ランを披露し、フル出場を果たした。

 しかし、三菱重工相模原ダイナボアーズに22-34で敗れた。

 試合後、会場のたけびしスタジアム京都のメインスタンド下へ現れた。メディアの問答に応じた。

——率直な試合の印象は。

「印象…。サントリーが弱かった。全部のモメンタム(勢い)で負けていましたし。いいところもありましたけど、技術というよりかはメンタルのほう。(敗因としては)そっちが大きいのかなと」

 確かに身体衝突の場面では、ダイナボアーズの海外出身者が存在感を示していた。

 敗れた小野晃征ヘッドコーチは、「逃げられないバトルである1対1の接点で、ひとりひとりの準備が足りなかった。僕がチーム全体の雰囲気を作れなかったことによって、こういう結果になった」と脱帽していた。

 松島はさらに続ける。

——「メンタル」の問題。試合前から危険な兆候はあったのでしょうか。それとも、試合をしながら違和感に気づいたのでしょうか。

「(戦前に)危ない、とは思わなかったですけど、試合をしながら…という感覚です」

——効果的なアタックを繰り出す時間帯と、そうでないかもしれない時間帯がありました。両者の違いは。

「いいアタックをしていてもジャッカル(スティール)され、ペナルティに…ということが、きょうはたくさんあった。そこを対処しないと、この先、全チームが狙ってくる。ラック周りは、サントリーの生命線なので」
 
 サンゴリアスは伝統的な部是として「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」を掲げる。フェーズを重ねながら勢いや数的優位を生むにあたっては、接点から素早く球を出すための激しいサポートを疎かにできない。

 松島が伝えたいのはそういったことだろう。

——ご自身は前半35分の得点場面で、軽快な走りを繰り出していました。

「いいランができ、そのまま皆でトライまで持っていけた。カッキーのいいジャッカルから、そのまま…(件のランの直前、プロップの垣永真之介がスティールでターンオーバーに成功していた)。本来、こういうのをどんどんやっていこうとしていた。これから先、セイムページになれるように落とし込まないといけないです」

3月2日の横浜キヤノンイーグルス戦(第10節)。松島は後半16分から今季初出場を果たすも、チームは22-33と勝利をつかめなかった。(撮影/松本かおり)


 前年度12チーム中9位のダイナボアーズはこのほど同カード初勝利。現在は4勝7敗で同10位だ。

 かたや前年度まで8季連続4強以上(不成立のシーズンを除く)のサンゴリアスは、目下4勝2分5敗で同7位である。6傑によるプレーオフ行きへも試練が強いられている。レギュラーシーズンは残り7試合だ。

 苦しむ組織にあって、松島は怪我で出遅れていた。

 もともと2月1日の第6節でスターターとしてカムバックの予定も、キックオフ直前に身体の状態が悪化。欠場した。

 同僚が敵地のヤマハスタジアムで静岡ブルーレヴズを33-14で下したなか、本人は自身のアクシデントについて「こういうシーズンなのかなと。ケアはしていますけど、避けられないものもあるので」と淡々と話した。

 ダイナボアーズ戦後はこう漏らした。

——ご自身がプレーできない間、黒星がかさんでいました。どう見ていましたか。

「まぁ、むずむずするというか。サントリーの人も、ファンの人も、皆そういう気持ちだったと思う」

 復帰できたのは3月2日。東京・秩父宮ラグビー場での第10節で、後半16分に登場した。その折は、前年度の3位決定戦を争った横浜キヤノンイーグルスに22-33で屈した。そして今度も苦杯をなめた。

——いま、ご自身のコンディションは。

「足の回転がまだ。ただ、試合をやっていくうちに戻ると思います」

——今後へ。

「これから大きく変わるために、メンタルというところを変えていかないと。きれいにいいラグビーをするんじゃなく、どん欲にやらないと。そうしないと、これから先は勝てないと思います」

 雑然とした取材エリアでは、勝利への執念を全部員が高次で共有すべきだとも語った。

 松島と同学年でスクラムハーフの流大は、ゲーム主将として公式会見に出席。こちらも手厳しかった。

「全体的な準備のところは概ねよかった。ただ、どこかで『勝てるんじゃないか』というマインドがあったのでは。それは堀越(康介主将=フッカー)がいないなかでゲーム主将をしている僕の責任でもあります。レビューしたいです」

 いま足りないものを聞かれ、「泥臭さ」を挙げた。

 それは本来、このクラブのよさでもあったはず。歴史的背景を踏まえ、流はこうも続けた。

「サントリーのラグビーの根本は泥臭さ、必死さ。そこを思い出さないといけない。1点差でもいいから勝つ。(翌週は)そんな気持ちをチームに思い起こさせるような1週間にしたい。それがミーティングなのか、練習なのか、いま(試合直後)ははっきりしていないですけど…」

「ゲームプランがあり、それを遂行しようとする意思はあります。ただ、(重要なのは)フィジカルのところ、ルーズボールに飛び込めるかどうか、1対1でタックルできるかどうか、ボールを蹴られた時に本当に必死に戻れるかどうか…ということなのだと思います。ここ何年かでメンバーが大きく変わってきている。そんななか、大事なことを知っている人間が体現しないといけない。僕を含めたベテランが率先し、若手に火をつけたいです」

 3月23日には秩父宮で第12節に臨む。現在5位のコベルコ神戸スティーラーズとぶつかる。

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