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「ファフ。僕も対戦できて嬉しいよ」。TJ・ペレナラ[リコーブラックラムズ東京]
「仲間と環境に助けられてゲームキャプテンを務めています」と謙虚
2025.03.14
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「ファフ。僕も対戦できて嬉しいよ」。TJ・ペレナラ[リコーブラックラムズ東京]

田村一博

 9番対決に多くの人たちが注目しています。
 3月15日(土)に秩父宮ラグビー場でおこなわれる横浜キヤノンイーグルス×リコーブラックラムズ東京についてそう言うと、その試合でブラックラムズのSH、ゲームキャプテンを務めるTJ・ペレナラはリラックスした表情で話し始めた。

「ファフとの対戦はとてもクール。何度も対戦してきましたが、日本でも戦える。これまでとは違う楽しみがあります」
 オールブラックスとして89キャップを持つ。南アフリカ代表として数々の栄光を手にしてきたイーグルスのファフ・デクラーク(58キャップ)とは、世界のファンが見つめる舞台で戦ってきた過去がある。

 ブラックラムズのグラウンドを訪ねたのは3月14日。その前日にデクラークと話した際に「TJと日本でも戦えて嬉しい」と言っていたと伝えると、「僕も同じ」とすぐに答えた。

「彼のことは選手としてリスペクトしているのはもちろん、人としても尊敬しています。ファミリーマン。奥さんと子どもを大事にしているところは、同じ価値観です」

 さらに続けた。
「フィールド上でやってきたことも、とても素晴らしい。ワールドカップで2回優勝し、クラブレベルも含め、いろんなカテゴリーの決勝戦を戦い、大きなプレッシャーの中で結果を残してきた選手。そんな相手だからこそ、バトルするのが楽しみ」
 そこには、トッププレーヤー同士の矜持がある。

 いくつもの大舞台で最上級のパフォーマンスを残してきた両者だ。お互いの強みは分かっている上で、どう戦うのか。

チームのプランの中でも、周囲をグイグイ引っ張り、力を引き出す。©︎JRLO


 TJは「僕も(こういう状況では)結構やるんだ」とイタズラっぽく笑い、「アタックでもディフェンスでも、僕は僕の試合がしたい。自分ができるベストを尽くす」と言った。
「スクラムハーフ同士がお互いをタックルし合うことは、ほとんどない。だからディフェンスをしっかりオーガナイズして、彼をシャットダウンする。それが大事」

 簡単なことではないと知っている。
「彼は彼で、自分のいいパフォーマンスをしようと思っているでしょう。私たちは対策を立てています。しかし、ワールドクラスの選手は、それを打ち破るようなプレーをしてくる。どれだけ、自分たちが立てたプランをやり切れるか、です」

 黒衣とモスグリーンのジャージーを着用し、お互い若い頃から、テストマッチやスーパーラグビーで対戦してきた。しかし、ピッチ上でのことについて具体的な記憶はない。記憶に残っているのは、試合後の時間だという。
「ファフには感謝しています。彼の競争力、闘争心が好きでした。でも試合が終われば仲良くやった。よく喋った。その時間が楽しかった」

 試合中、9番同士が口で圧力を掛け合ったり、体を寄せたりするシーンをよく見かけるが、デクラークはその点について、「TJのことはよく知っているから、いまさら、そんなことはしない」と言っていた。

 TJもほぼ同じことを言った。
「ファフも同様の考えを言っていた」と言うと、大笑いして説明した。
「9番は、攻守両面でチームに大きな影響を与えるポジションだから、(いろんなことをやって相手より)アドバンテージを得たいんだ」

「そういう理由もあって、ゲームレビューで、相手スクラムハーフを見ていると、その人の性格が見えてきる。それが分かると、ゲームの序盤にいろいろ言って頭(思考)にプレッシャーをかけることもある。でもファフやアーロン(スミス/現トヨタヴェルブリッツ)クラスになると、そんなことしても効かない」
 だから仕掛けても意味がないと言って表情を崩した。

「だから、もっと他のことを考える。お互い、よく知っている。僕はチームに彼がやってくると予想できることを伝えた。ファフも、僕のことをチームに伝えていると思う」
 そんな駆け引きが、また楽しい。

 開幕から10戦を終えて3勝7敗の9位。しかしブラックラムズ直近の試合を見ると、前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦に7-22と勝ち、その前節は、敗れはしたものの、東芝ブレイブルーパス東京に44-45と食らいついた。そして、その前の浦安D-Rocks戦には44-22と快勝している。

2024年10月、日本代表と対戦。ハカをリードした。(撮影/松本かおり)


 ゲームキャプテンとしてチームを牽引しているTJは、「いいラグビーができている。それでも勝ちを得られないときもあるけど、大事なことは、作り上げてきたものの上に、さらに積み上げていく作業を続けていくこと」と話す。
 イーグルス戦で大事なことは、うまく戦おうとするのではなく、「いいマインドセットで戦い切ること」とシンプルだった。

 今季から加入した。自分がいま、このチームで成し遂げたいことについて、「ブラックラムズは、望んでいるところに手が届いていないと聞いています。私は、みんながそれをやり遂げられるように貢献する。そのためにここにいます」とした。

 個人として何を目指してプレーしているのか。それについては、「世界のベストプレーヤーになりたい。それは、どこのチームでプレーしているとか、そういうことに関係なく持ち続けている目標」と明確に答えた。

 それが現実になるなら、(自ら離れると判断した)オールブラックスも招集したくなるかも。
 そんな雑談には、「(NZでは国外でプレーでしている選手は代表に選ばない)ルールがあるから、それはないでしょう。ただ、常に高いレベルにいて、声をかけたくなるくらいのパフォーマンスを出し続けたい」と答えた。

 ルールが変わったら?
「自分の国を代表できるなんて光栄。そうなったら、喜んでプレーします」
 こちらも迷いなかった。





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