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Super Rugby is Back! 2月14日開幕。クルセイダーズ、ハリケーンズ相手に再浮上の一歩目踏み出せるか
クルセイダーズのFBで先発するウィル・ジョーダン。(Getty Images)

Super Rugby is Back! 2月14日開幕。クルセイダーズ、ハリケーンズ相手に再浮上の一歩目踏み出せるか

松尾智規

 2025年度のスーパーラグビー・パシフィックの開幕戦は、クルセイダーズ×ハリケーンズのオープニングゲーム(2月14日)を皮切りに、同日ワラターズ×ハイランダーズ、2月15日(土)は、ドゥルア×ブランビーズ、ブルーズ×チーフス、フォース×モアナ・パシフィカの3試合がおこなわれる。(レッズはBYEで休み)
 さすがラグビー王国ニュージーランド(以下、NZ)だ。開幕戦の試合登録メンバーが発表された後は、その話題がスポーツニュースを賑わせた。トークバックラジオでは、司会者も視聴者も開幕を前に興奮している。ラグビーファンの皆が開幕を楽しみに待っていた。

 開幕週から昨季の決勝の再戦が実現するなど白熱が予想される。NZ勢の激突となる(通称NZダービー)2試合を展望してみたい。

【クルセイダーズ×ハリケーンズ】両軍ケガ人続出。オコナーはベンチスタート。


 今季のオープニングゲームは、昨季大不調(9位)でプレーオフを逃したクルセイダーズがホームのクライストチャーチにハリケーンズ(昨季レギュラーシーズン1位)を迎える(2月14日)。

 今季、王者復活をかけて開幕からスタートダッシュを狙うクルセイダーズは、開幕目前で怪我人が相次いだ。その数は14人。特にフロントローに不運が相次ぎ、コーディー・テイラー、ジョージ・ベルの現オールブラックスのHOふたりが揃って開幕に間に合わず、イオアネ・モアナヌが2番を付ける

 HOのリザーブは、スコッド外から選ばれた。約1年前はまだ高校生だったマヌマウア・レティウが急遽ベンチ入り。地元クライストチャーチ・ボーイズ・ハイスクールのOBでクルセイダーズ地区の優勝(2023年度)を勝ち取った時のキャプテンだ。身体の強さを活かした突進が凄まじく、将来が楽しみな選手。「子どものころから常にクルセイダーズを見てきて、ずっとこのチームでプレーしたいと思っていた」と話している。
 転がり込んできたチャンスに興奮しているレティウは、出場すれば19歳にしてスーパーラグビーデビューとなる。

 FW陣にケガ人は多いものの、PR陣は1番タマティ・ウイリアムズ、3番フレッチャー・ニューウェル、LOスコット・バレットの現オールブラックスが並ぶ。また、相変わらずFW第3列陣のメンバーも強力だ。

 BK陣に目を向けると、最も注目となる10番のセレクション。指揮官ロブ・ペニー(以下、HC)は、ホームでの開幕戦の大舞台にタハ・ケマラに10番を託した。プレシーズンで後半から登場して印象的なプレーをしたSOジェームズ・オコナーはベンチスタート。興味深いセレクションだ。元ワラビーズの64キャップのベテランには後半のインパクトに期待という事か。
 今季のキャプテンに指名されたデイヴィット・ハヴィリがリーヴァイ・アウムアとCTBコンビ組む。
 FBは昨季はケガで全試合欠場のウィル・ジョーダンが15番を付けて2季ぶりにスーパーラグビーに戻ってきたこそは大きい。
 ベンチは、代表クラス(ABs/ABsXV)の能力の高い選手が並ぶなか、先日、注目選手として取り上げたスーパーラグビー初参戦のSHカイル・プレストンがいきなりベンチ入り。出場すればスーパーラグビーデビューとなる。相手のハリケーンズには、NPC(NZ国内州代表選手権)ウエリントンのチームメイトが多数いる。負けられない。

 対するハリケーンズもクルセイダーズよりは少ないものの、多数(8人)の負傷者を抱えて開幕戦を迎える。
 すでに今季全試合欠場と言われているSOブレット・キャメロン、シーズン序盤戦を欠場するSO/FBルーベン・ラヴ、その他では、PRタイレル・ロマックス、HOアサホ・アウムアの代表勢を始め、FL/NO8デヴァン・フランダースらの主力選手が怪我で出遅れると発表があった。

 しかし層の厚いハリケーンズは、代表入りを伺う能力の高いメンバーを中心に、FW陣は強力メンバーとなっている。開幕戦は6番ブラッド・シールズと7番デュプレシス・キリフィの共同キャプテン、NO8ブレイデン・イオセを入れた強力なFW第3列を組んでいる。

 BK陣を見ると、怪我人が多い司令塔のポジションはプレシーズンで起用されていたFB/SOハリー・ゴッドフリーが引き続き10番のジャージーを着て、9番キャム・ロイガードとハーフ団のコンビとなった。
 層の厚いCTBは、12番ピーター・ウマガ=ジェンセン、13番バイリン・サリバンを開幕戦に選んだ。14番ファタフェヒ・フィナンガノフォと スコッド外ながらも怪我人のバックアップで招集されたカラム・ハーキン(15番)の2人がスーパーラグビーデビューとなる。

 昨季代表デビューのPRパシリオ・トシ、FL/NO8ピーター・ラカイがベンチスタート。後半からインパクトを与えそうだ。

 試合の展望は、お互いにFW第3列を中心にブレイクダウンの攻防、BKはCTB対決が見応えがありそうだ。クルセイダーズの13番を付けるアウムアが目立つ展開となればクルセイダーズが勢いがでるだろう。
 両軍の経験の浅い、司令塔(10番)、HO(2番)の選手のパフォーマンスが試合を左右するかもしれない。

●注目マッチアップ
□ノア・ホッザム × キャム・ロイガードの現オールブラックスの9番対決。両者とも密集サイドを突破する能力がありチームに勢いをもたらす事が出来る。

クルセイダーズ、ハリケーンズの公式『Facebook』より。


【ブルーズ×チーフス】昨季決勝の再戦。ボーデン、マッケンジー共に15番で先発へ。


 昨季の決勝のカードがラグビーのイーデンパーク(オークランド)で再び激突する(2月15日)。
 ブルーズの本拠地オークランドとチーフスの本拠地ハミルトンはご近所でライバル意識が非常に強い。観客も同じ気持ちで一緒に戦い、盛り上がる。

 昨季王者のブルーズは、他チームと同様に負傷者を抱えての開幕となった。ポジション争いが激しい司令塔は、昨季安定感のあるプレーで優勝に貢献したハリー・プラマーが開幕戦で10番を勝ち取った。今季チームに復帰したボーデン・バレットは15番でスターターだ(SO/FBスティーヴン・ペロフェタ、FBザーン・サリヴァンはケガで欠場)。
 CTBコンビは12番AJ・ラム、13番リーコ・イオアネ、WTBは、11番ケイレブ・クラーク、14番マーク・テレアと豪華なBKだ。

 FW陣は、NO8ホスキンス・ソトゥトゥが膝のケガの完治までまだ少し時間がかかり欠場。キャメロン・スアフォアが8番に入る。日本に移籍したアキラ・イオアネのポジションには、アントン・セグナー(6番)が入り、7番ダルトン・パパリイとバランスの取れた3列陣。
 フロントローは、この試合でスーパーラグビー通算150試合目となるオファ・トゥンガファシをはじめ、昨年の決勝と同じメンバー。FW、BKと共に強力なメンバー構成と言っていいだろう。

 チーフスのメンバーを見ると、同じく注目は司令塔のセレクション。ジョッシュ・ジェイコブが開幕カードで10番を託されダミアン・マッケンジーは15番。両軍ともオールブラックスで10番を争う選手が15番になった。興味深い。
 オールブラックス・セブンズで名を売ったWTBレロイ・カーターが14番に入りスーパーラグビーデビュー。代表経験のあるWTBエモニ・ナラワをベンチに追いやり開幕戦で先発に抜擢された。注目したい新人だ。

 ベンチにはLOトゥポウ・ヴァアイ、LOサミペニ・フィナウ、SHコルティス・ラティマ、CTBアントン・レイナート=ブラウンと現オールブラックスが多数いる。後半からのインパクトに大いに期待が持てる。

 試合の展望は、今季もブルーズがFW周辺で勝負にこだわるラグビーを見せると思われる。チーフスがどれだけFW戦で対抗できるかが鍵となるだろう。ブレイクダウンの攻防は、凄まじいものになりそう。
 両軍BK陣も豪華なメンバーで決定力があり、スーパーラグビーらしくエキサイティングでトライの多い試合になりそうだ。昨年の決勝はブルーズが41-10で圧勝している。この差を埋めるのは容易でないが、チーフスのベンチを含む豪華なメンバーを見ていると同じ結果にはならないと思われる。

 試合を目前に控えてブルーズのヴァーン・コッターHCは、メディアに「昨年の優勝のことは正直忘れている」と冗談ではなく真剣な顔で語っていた。
 今年のブルーズには気の緩みがない。選手たちも同じ気持ちかどうか、開幕カードを見て見極めたい。

●注目マッチアップ
□ハリー・プラマー×ジョッシュ・ジェイコブの10番対決。NZで話題の若手ジェイコブが安定感抜群のプラマー相手に良いパフォーマンスを見せることができれば、代表入りのアピールになる。
□ボーデン・バレット × ダミアン・マッケンジーの15番対決。オールブラックスの10番も争う2人が、最後尾からどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。

ブルーズ、チーフスの公式『Facebook』より。



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