logo
名将ガットランド、ウェールズとの旅を終える。暫定HCはカーディフ率いるシャラット
2023年ワールドカップ、オーストラリア代表戦時のガットランド。この時は40-6と圧勝。今夏、日本でエディー・ジョーンズHCと再会することは叶わなかった。(撮影/松本かおり)

名将ガットランド、ウェールズとの旅を終える。暫定HCはカーディフ率いるシャラット

ジャスラグ編集部

Keyword

 長く名将と呼ばれた人と、この夏の日本ツアー時に会えると楽しみにしていたのに実現しなかった。
 ウェールズ代表のウォーレン・ガットランド ヘッドコーチ(以下、HC)が解任された。現地時間の2月11日の午後、ウェールズ協会が発表した。

 開催中のシックスネーションズで同代表の指揮を執るのは、マット・シャラットHC。ユナイテッド・ラグビーチャンピオンシップ(以下、URC)のカーディフでヘッドコーチを務めている人が暫定指揮官に就任した。

 ウェールズは今季のシックスネーションズで、ここまで2戦2敗。初戦のフランス戦で0-43と大敗した後、2戦目のイタリア戦にも15-22と惜敗した。
 その敗戦でウェールズは、同代表史上最悪のテストマッチ14連敗となっていた。

 現地報道によるとウェールズ協会のアピ・ティアニーCEOは、解任の決定については双方の合意としたようだ。
 毎試合後には連絡を取り合っている。イタリア戦を終えた後の今週はじめにも電話で話し、その際の会話で決定したという。

 同CEOはシャラット暫定HCについて「チームをまとめ、若い選手を成長させることができる人物を求めた」結果と報道陣に話したようだ。選手たちからの信頼と人物的魅力も指名理由としている。
 指揮を執るカーディフは16チームで争うURCで5位につけており、現在の代表スコッドにも8人を送り出している。

 シャラット暫定HCは1978年生まれのイングランド人。2016年から2017年にかけて指揮を執ったロブ・ハウリーHCのもと、代表アシスタントコーチを務めた経験もある。
 オスプリーズ、ブリストル、ウスターで指導経験を積んだ後、2023年からカーディフHCを務めている。

 就任にあたり同HCは、今回の状況について、低迷していたカーディフの指揮官に就いた時と似ているとし、マインドセットの変革が重要と声明を出した。
 戦術を整えたところでチームに自信がなく、恐れがあれば意味がない。選手たちがフィールドに立つことを楽しみにできるような雰囲気を作ると方針を示している。

2月8日のイタリア戦にも15-22と敗れてテストマッチ14連敗となったウェールズ。代表チーム同士で最後に勝ったのは2023年ワールドカップのジョージア戦。(Getty Images)


 一方、ガットランド前HCは、「新しいヘッドコーチの成功を願っている」とし、ウェールズファンへ「皆さん、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を送った。

 また、「私たちは懸命に努力し、才能ある若手選手たちが成長してきました。彼らのポテンシャルを結果に結びつけようとしましたが、今こそ変革の時です。私はこの章を終えることになりますが、これまで支えてくれたウェールズの皆さん、私のもとでプレーしてくれた選手たち、特に長年共に歩んできたスタッフに心から感謝しています」とも語っている。

 前HCはニュージーランド人。テストマッチ出場こそないもののオールブラックスに選ばれた経験を持つ。
 1988年の豪州ツアーから代表に選ばれ、ミッドウイークゲームなどに出場。1991年までに17戦に出たものの、同年秋のワールドカップのメンバーには選ばれなかった。

 1995年シーズン開幕前に現役引退を表明するまでにワイカト代表HOとして140戦に出場。同代表やニュージーランドXVの主将も務めた。リーダーシップがあった。

 現役引退後、NZ国内で指導者の道を歩み始めた。その後、欧州のクラブで経験を積む。アイルランド代表の監督を1998年から2001年まで務めた。2005年から2007年まではワイカト、チーフスの指導にあたった後、ウェールズから声がかかった。

 ウェールズ代表を2つの期間率いた。2007年から2019年のワールドカップまで指揮を執り、2023年のシックスネーションズから今回のシックスネーションズまで再び代表指導にあたっていた。

 一期目に残した足跡は素晴らしい。
 ワールドカップ3大会で指揮を執り、2011年大会と2019年大会ではベスト4に導いた。シックスネーションズでは4回優勝(そのうち3回はグランドスラム)、最後のシーズンには14連勝も記録した期間があり、同代表は初めて世界ランキング1位に立ったこともある。
 ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズも3度(2013、2017、2021年)指揮したことがある。

 しかし、2022年12月にウェイン・ピヴァックの後任として復帰してからの2期目は、26試合でわずか6勝(勝率23%)。今回のシックスネーションズでの連敗でチームは世界ランキング12位まで後退した(日本は13位)。
 ガットランドのウェールズ代表HCとしての通算成績は151テストマッチ戦い、76勝73敗2分だった。

ALL ARTICLES
記事一覧はこちら