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ファフ・デクラークが帰ってきた。
南アフリカ代表として昨秋までワールドカップ2連覇のスクラムハーフは、12月22日、神奈川・日産スタジアムにいた。
加入3季目の横浜キヤノンイーグルスの一員として、国内リーグワン1部の開幕節に先発。昨季は2024年1月7日の第4節を最後に故障で離脱していたため、約1年ぶりの公式戦出場となった。
さかのぼって11月19日、神奈川県内のイベントスペースでクラブの出陣式に出席。観客を前にしたトークセッションと記者会見で、復調ぶりをアピールしていた。
——昨季のプレーオフには、給水係を務めてチームを支えていました。イーグルスの魅力は。
「いい奴ら、才能あふれる選手たちが集まっている。皆、チーム愛があり、どれだけ苦しくでもチームのために必死に努力する姿勢があります。ファンの皆様も、自分が復帰して日本に戻って来た時にすごく熱く応援してくれました。その姿を見て、感銘を受けました」
——チームメイトとの仲のよさが伝わります。
「コンタクトセッションの時はそこまでではないですが、仲良しです!」
——今季のイーグルスのよさと課題は。
「(ちょうど隣に座っていた)田村優が、何よりもいい選手です!
…いまは、チームで取り組んでいることがあと少しでものにできる、けれどもまだ届いていない、といったところです。今季はキックゲームが重要になる。ルールが改正されたためです(キックチェイスの動きが厳格化)。
フィジカル強化も大切になる。選手全員で取り組んでいます。
先々週(11月上旬)チームに再合流し、約2週間が経っています。コンディションは上がってきていますが、沢木(敬介)監督に『フィットネスが足りない』と言われているので、それを元に戻したい! 怪我は完治しているので、シーズンを楽しみにしています」
以後、トレーニングマッチを経てオープニングゲームを迎えた。
前年度王者の東芝ブレイブルーパスを向こうに、鋭いキックで活路を見出した。16-7とリードしてハーフタイムを迎えた。終盤に重要な決定機を逃すなどして最後は21-28と惜敗も、金髪の9番こう総括した。
「チャンピオンに勝てるところまで行った。自分自身もチームも自信がつきました」
前向きに映るゲームにあって悔やまれるのは、流れに乗っていた前半23分頃のワンシーンだ。
敵陣22メートルエリア左のラインアウトから、デクラークが自身を絡めたループプレーなどでゲインライン突破を促す。最後は自らが接点の脇を抜け出すも、追いかけてきた相手のリッチー・モウンガにトライを阻まれた。
ニュージーランド代表の司令塔でもあるモウンガのファインプレーについて、苦笑しながら応じた。
「あそこで、他に何ができたかを考えています。…ただ、ハイタックルでペナルティートライだったかなと!」
ただしこのライバルの必死の動きについて、こうも応じた。
——デクラーク選手を含め、ワールドクラスの選手は厳しい状況でもネバーギブアップの精神を貫きます。
「ビッグゲームを経験している分、ギブアップしない気持ちは常に持っています。ベストを尽くすなかで、必然とそうなる。だからこそトッププレーヤーは、毎試合、いい戦いをします」
——今回のような厳しい一戦を制するには、何が必要ですか。
「キックの精度を上げること。これから戦うのも強豪なので、接戦になることも多いと思います。きょうは敵陣22メートルエリアに入って、スコアの奪える状況もありました。勝負はどう転がるかわからなかった。どちらが勝ってもおかしくなかった。ただ、時に運にも左右される。スポーツでは、それを受け入れないといけない」
イーグルスはデクラークの入団から2シーズン連続で4強入り。今季は力を示し、「運」を掴み、優勝したい。