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前日の寒さはどこへ。
11月15日のシャンベリー(フランス)は10度超え。青空が広がり、気持ちのいい一日だった。
哲学者のジャン=ジャック・ルソーが数年間暮らした家がホテルから30分ほどの場所にあると聞いたので行ってみる。
山道を登るハードさも、澄んだ空気に癒された。
日本代表は午後、ウルグアイとテストマッチを戦うシャンベリー・サヴォワ・スタジアムでキャプテンズランをおこなった。
2023年に完成した同スタジアムは、立席を入れて6000人台の収容人員。地元クラブ『SOC RUGBY』の本拠地でもある。
好天に恵まれたこの日は遠くに壮大な山々が見えて、シャンベリーの街のロケーションの素晴らしさをあらためて実感できる。
グラウンドは人工芝。少し固めの感触だった。
トンガ代表とのアタック&ディフェンスや、強度の高い練習を重ねてきた1週間の締めくくりは、1時間足らずの軽めのトレーニング。
チームランを終えた松永拓朗は、「準備もできているし、(周囲との)コミュニケーションも取れているので(試合が)楽しみです」と話した。
立川理道主将が怪我でチームを離れたため、ウルグアイ戦は10番を背負う。日本代表3キャップ目で初の先発。緊張して当然も、超速ラグビーの理解度は進んでいる。描いている勝利へのプランを「自分で体現するだけ」と言う。
ゲームキャプテンを務めるSH齋藤直人とは密に連係をとってきた。映像を一緒に見ながら、「(ゲームの)シナリオを考えてきました」。
「こういう時は、どういうサインプレーを使う。このエリアではどうアタックする。ビデオを見ながら話してきたので、思い描いていることを最初から出していきたいです」
自分の強みである、「ボールを動かし、テンポを上げてアタックする」プレーで勝負する。
そのためには、早くセットし、コールすることが大事だ。誰にボールを渡すのかを明確にすることでハンドリングエラーも減る。
対戦相手のウルグアイを、「フィジカリティが強いチーム。そしてアグレッシブに攻めてくる」と見る。そんな相手に、「接点でも対抗し、スピードで勝ちたい」。
ジャッカルを執拗に狙ってくる相手にスキを見せてはいけない。
ブレイクダウンへの仕掛けのはやさで勝つことも超速ラグビー。勝利への道筋は見えている。
為房慶次朗は3番で先発する。直近の3試合はベンチスタートだったが(オールブラックス戦はメンバー外)、先発でも途中出場でも「試合に出る点では同じ。気持ちは変わらない」と言う。
前週のフランス戦では、「世界トップレベルのチームを相手に戦い、重量級フォワードのパワーと、肉体的な強さを直に感じ、もっとフィジカリティの強さを高めないといけない」と感じた。
ボールキャリーの際、「フランスのタックルが重く、あまりゲインできなかった」。改良のため、個人的に練習している。
スクラムはジャパンハイトにこだわって組む。
世界のどこよりも低く、がキーワードだ。膝を地面すれすれの位置で保ち、相手に関係なく、自分たちの最強の姿勢で固まり、8人の力を一体化して前へ出る。
対戦するウルグアイは「ロス・テロス」の愛称で知られる。前週はスペイン代表と対戦し、24-33と敗れている。
日本とは2022年に2回対戦。東京と北九州でサクラのジャージーが勝った。
前エディー体制の2015年、W杯前にも来日しており、その時も東京と福岡で日本が勝って2勝。両国間のテストマッチは今回で6回目となる。
2005年の日本代表南米ツアーではモンテビデオで対戦して24-18とウルグアイが勝利。テストマッチ対戦成績は日本の4勝1敗だ。
ウルグアイは2025年に次回ワールドカップの予選を控えている。チームは、それに向けて強化を進めている途中にある。
キャプテンズラン取材後は、だいぶ慣れてきたシャンベリーの街へ。評判のいいレストランで鴨肉を食べた。
テストマッチ後は祝杯といきたい。