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【ラグビー日本代表と征く欧州2024/DIARY⑥】初先発のWTB濱野隼大、「緊張より、楽しみの方が大きい」。ウルグアイ戦メンバー発表
パシフィックネーションズカップ決勝のフィジー戦に続いての2キャップ目で初の先発。笑顔のWTB濱野隼大。(撮影/松本かおり)
2024.11.15
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【ラグビー日本代表と征く欧州2024/DIARY⑥】初先発のWTB濱野隼大、「緊張より、楽しみの方が大きい」。ウルグアイ戦メンバー発表

田村一博

 左のラインアウトから山の方にアタックね。
 エディー・ジョーンズ ヘッドコーチの声が響く。試合を想定した練習は、約2時間続いた。

 11月14日のシャンベリー(フランス)は好天。しかし、日本代表が練習した郊外の『SOC RUGBY』のグラウンドは風が強く、体感温度は6度より低かった。
 この日は遠くに見える山、モン・デュ・シャが、山頂の雪まではっきりと視界に入った。

この山から吹いてくる風がとても冷たかった。(撮影/松本かおり)


 同日の午前中、11月16日におこなわれるウルグアイ戦のメンバーが発表された。
 ゲームキャプテンを務めるのはSH齋藤直人。HO原田衛とCTBディラン・ライリーがバイスキャプテンを務める。

 立川理道主将が怪我で離脱したこともあり、SOの先発は松永拓朗が務める。まだ2キャップも、前戦のフランスとの試合では、途中出場ながら落ち着いてプレーした。
 この日の練習でもSH齋藤とコミュニケーションを取りながら周囲を動かしていた。

 フランス戦の先発と違うのは3人。3番に為房慶次朗、6番にファカタヴァ アマト、11番に濱野隼大が入った。
 ファカタヴァの6番での起用により、下川甲嗣と姫野和樹が、それぞれ7番と8番のジャージーを着る。

 今季のテストマッチ全9戦にCTB、WTB、あるいはベンチスタートで出場してきた長田智希の名前がメンバー表にない。グラウンド脇でワットバイクを漕いでいた。トンガとの合同練習の際に足首を捻ったようだ。深刻な怪我ではなく、次週のイングランド戦を睨んでの判断となった。
 ベンチスタートには、PRのオペティ・ヘルなどが入った。

 テストマッチ2試合目で初めての先発となる濱野は、「緊張もありますが楽しみの方が大きい」と頼もしい言葉を発した。
「WTBで出るので、外でスピードをつけて走り、チームにモメンタムが生まれるランニングをしたい」と、思い切って強みを出す。

SH齋藤直人(左)がゲームキャプテンを務める。(撮影/松本かおり)


 ウルグアイはキックを使って戦ってくるだろう。日本も、賢く蹴っていきたい。
「この1週間、マロ(FBツイタマ)、ジョネ(WTBナイカブラ)とコミュニケーションをとって(準備をして)きました。いつ蹴って、誰が下がるとか、試合でも連係をとって動きたいですね」
 ロトルアボーイズ高(NZ)の出身だけに、ふたりとの英語でのやり取りもスムーズ。その点も武器のひとつだ。

 代表活動を続ける中で、「ラグビーのことを考える時間が増えた」という。
「練習や映像を見る中で、他の選手たちからアドバイスを受ける。それがとてもためになっています。自分では分からなかったことについて、こうしたらいいとか、意見をもらえます」
 同じポジションのナイカブラは、先生のひとり。「WTBのランニングラインとかタイミングを教えてくれます」。

 前日はオフ。チーム全員で宿舎近くのブルジェ湖に行き、気温7度の中で水に入り、水を浴びた。
「冷たかったけど、そのあとのランチも美味しくて、さらにチームの一体感が強くなった気がします」という23歳は、「緊張はあっても、このためにラグビーをやってきたし、きついこともしてきました。いいチャンスです」と腕をぶす。

「試合前日の夜までに自分の役割の詳細を詰め、やるべきことをクリアにして試合に臨みたいと思います」

「日本代表でショートパスのスキルが高まった」と話すニコラス・マクカラン。(撮影/松本かおり)


 フランス戦のメンバーからは外れるも、ウルグアイ戦では22番をつけるニコラス・マクカランは、「今回は10番と12番をカバーする役割があります。ピッチに立ったらチームをオーガナイズしたい」と抱負を口にした。

 10番としてプレーするのは高校以来となるが、「大丈夫です」と頼もしい。
「いまのジャパンのスタイルの中では、10番、12番が入れ替わることも多いので、両ポジションの役割の違いは大きくない。チームにモメンタムを生み出すためにも、シンプルにプレーしたいと思います」

「チームとしては、スタートから激しくいくのが大事。自分自身は、ハードにプレーするチームメートに、スピードがある状態でボールを渡すことを実行したい」と言うオーガナイザーは、スペインと戦ったウルグアイのパフォーマンスを見て、スピードのあるバックスリーとSHが要注意とした。

パンチのあるプレーでチームに勢いを与えたいPRオペティ・ヘル。(撮影/松本かおり)


 オールブラックス戦で初キャップとテストマッチ初トライをマークしたPRオペティ・ヘルは、インターナショナルレベルの試合を経験し、「もっとハードワークする必要があると感じました」と話す。

 今回は18番を背負う。ウルグアイ戦に向けて、「チームにエナジーを与えるプレーをしたい。試合を(いい形で)フィニッシュさせます。チームメートが前半にいいモメンタムを作ってくれたところに、自分がさらにインパクトを与えたい」と意欲を見せた。

 エディー・ジョーンズ ヘッドコーチは濱野の起用について、「ずっとハードなトレーニング、インディビデュアルなスキルの課題にも取り組んできていました。その努力が実った」と話した。

 ゲームキャプテンを務めるSH齋藤はSO松永とコンビを組むことについて、「この1週間、一緒にビデオを見て、グラウンド上でもコミュニケーションを取っています。いろんな状況を想定しながら、いい準備ができています。まずは一選手として自分のパフォーマンスを100パーセント出すための準備をしていますが、拓朗よりは自分の方が経験があるので、準備段階でも試合でもサポートできるかなとは思っています」とした。

毎晩のように食べるが飽きないソーセージ。うまい、うまい。

【日本代表 ウルグアイ戦メンバー】
①岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス/関西学院大/29歳/180cm、105kg/6)
②原田 衛◯(東芝ブレイブルーパス東京/慶大/25歳/175cm、101kg/9)
③為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/明大/23歳/180cm、108kg/8)
④エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ/FIJI・ラトゥ カダヴレヴスクール/28歳/196cm、122kg/4)
⑤ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京/流経大柏/22歳/201cm、117kg/20)
⑥ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京/大東大/29歳/195cm、118kg/12)
⑦下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス/早大/25歳/188cm、105kg/12)
⑧姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ/帝京大/30歳/187cm、109kg/34)
⑨齋藤直人◎(スタッド・トゥールーザン/早大/27歳/165cm、73kg/22)
⑩松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京/天理大/26歳/172cm、82kg/2)
⑪濱野隼大(コベルコ神戸スティーラーズ/ロトルアボーイズ高/23歳/180cm、93kg/1)
⑫シオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ/天理大/25歳/187cm、105kg/14)
⑬ディラン・ライリー◯(埼玉パナソニックワイルドナイツ/豪・ボンド大/27歳/187cm、102kg/26)
⑭ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京/摂南大/30歳/177cm、95kg/15)
⑮マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ/NZ・スコッツカレッジ/28歳/182cm、91kg/6)

⑯松岡賢太(コベルコ神戸スティーラーズ/明大/27歳/175cm、100kg/3)
⑰森川由起乙(東京サントリーサンゴリアス/帝京大/24歳/180cm、114kg/3)
⑱オペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/ニューイントンカレッジ(AUS)/26歳/190cm、127kg/1)
⑲サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ/ヘイスティングボーイズ高(NZ)/29歳/202cm、120kg/8)
⑳アイザイア・マプスア(トヨタヴェルブリッツ/慶大/23歳/191cm、112kg/4)
㉑藤原 忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/天理大/25歳/171cm、76kg/8)
㉒ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ/帝京大/28歳/188cm、93kg/5)
㉓梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス/明大/29歳/181cm、95kg/5)

※◎は主将、◯は副将


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