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5日目もパリはどんよりとした天気。日本代表は試合翌日の昨日(11月10日)、ウルグアイとのテストマッチの地、シャンベリーへ移動した。TGV(フランスの高速鉄道)での移動だったようだ。
こちらも一日遅れで5時間半の旅。フランスは3連休最終日ということで、数日前から1等車しか空席がなかった。
お陰で指定された席は上等な椅子だったものの、やはり長時間座るとお尻も腰も痛くなる。田舎を走るばかりで、外の景色も単調。初めての街に行く楽しさはあったが、窮屈な道中となった。
シャンベリーは、スイスのジュネーブから90キロ弱の街。パリよりも寒く、休日ということもあり、駅前や繁華街も休んでいる店が多く、人もまばらだった。
曇天ということもあり、寂しい空気が漂っていた。
夜も早い。
開いているレストランも少なく、スーパーマーケットでも20時には「閉めますよ」と言われ、慌ただしく買い物。
そして、ビールや安ワイン、ハムなどを買っただけで7000円ほどの支払いとなり円の弱さをあらためて感じた。
現地時間の19時前からオンライン会見がおこなわれた。フランス戦に途中出場のPR森川由起乙(東京サントリーサンゴリアス)、SO/FB松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)が報道陣の質問を受けた。
日本は午前3時なのに、熱心な記者の方々が10人超参加。勤勉!
土曜日の試合で3キャップ目となった森川は、フランス戦の後半12分からピッチに立った。
過去の2キャップとも2022年に来日したフランス相手に獲得したもので、3キャップすべてが対フランスというのも珍しいのではないか。
オールブラックス戦直前の10月24日、代表チームに招集された森川。実は7月にもエディー・ジョーンズ ヘッドコーチから呼ばれていたそうだ。しかし、以前痛めていた膝の調子がまだ思わしくなく、その時は断った。
そんなやり取りを経ての今回の合流だった。
「リハビリを経て状態も上がっていました。サンゴリアスと違う環境でチャレンジすることは自分のためになるだろうし、日本のトップでチャレンジすることを望んでいました。(チームのHCの)小野晃征さんもプッシュしてくれました」
前回の代表活動はジェイミー・ジョセフHC時代だった。現体制の活動に参加して感じたのは、ジョーンズHCの思考回路だ。「勝つための手段が常にシンプルです」と言う。
しんどい方をチョイスすること、そして、信頼を勝ち取ることを求められるチームと話す。
ジャージーやチャンスをつかめるかどうかは、それ次第。試合で力を出せば、また起用される。その繰り返し。
現代表がスクラムで大事にしているのは、日本特有の低さであり、フロントローのコネクション、バックファイブの重さ(を伝えること)。先手を打ち、そのパンチを放った後も、 1センチでも前に行く。
前体制時と根本の部分は変わらないと感じている。
フランス戦の前半を振り返り、強いアウェー感の中で、硬くプレーしすぎて、相手の展開に飲まれてしまったと反省する。
「でも、準備してきたことをやろうとあらためて話した後半は、僕らのテンポ、スピードを出して、フランスを置いていくアタックはできていたとも思います」
「フィニッシュ率を上げていかないといけない」とするも、次戦では最初から日本スタイルを出したい。
合流即FW最年長となった31歳は、若手が多いチームの中で、「経験してきたことを出し、自分を知ってもらいたい。それが若い選手たちの成長につながれば」とリーダーシップも発揮する。
11月11日にはSO立川理道が「コンディションの都合」でチームから離脱することが発表された。ユーティリティーにプレーすることができる松永は、「10番として準備することになると思います」と話した。
「きょうの練習でも9番としっかりコネクションをとって準備してくれと指示されました」と言う26歳は、主将離脱の状況の中、「自分にとってはいいチャレンジになると、ポジティブにとらえています」と前向きも、「責任感を強く感じる」。
いい緊張感を持って次戦、ウルグアイ戦への準備を重ねていくことになる。
日本のスタイル、超速ラグビーを実現するために、「プランを理解し、その中での自分のチーム内での役割も理解することが大事。パスやキックの判断をもっと早くし、ボールを動かすことにフォーカスしていきたいですね」。
シャンベリーの人たちはおそらく、11月16日(土)のウルグアイ戦で、日本ラグビーを初めて目の当たりにするだろう。
そんな人たちをジャパン好きにさせるパフォーマンスを出したい。