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寒い、寒い。
11月8日もパリは曇天で時々小雨。日本代表は17時から、翌日にフランスと戦う試合会場、スタッド・ド・フランスでキャプテンズランをおこなった。
その前に、現地時間の10時45分から、ニール・ハットリー アシスタントコーチ、テビタ・タタフ(NO8)と齋藤直人(SH)がオンライン会見に登場。報道陣の質問を受けた。
トップ14のボルドーでのプレーが2季目に入ったタタフは、フランス戦ではベンチスタート。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「試合終盤にインパクトあるプレーを期待している」と話している。
それを受けて本人も、「チームにエナジーを与えたい。与えられた時間の中で力を出し切る」とした。
ボルドーでの2季目について、「チームの強みが、より分かってきた。新しい選手たちも加わって、いい感じ」と話すテビタは、しばらく離れていた日本代表の印象について、「チーム内のつながりがより良くなっているし、フィジカル面、スピード面が高まっている」と感じたようだ。
「チームとしてやれることが多くなっている」と話す。
フランス戦では、同国で揉まれて伸びた力を出す。「自分より大きくて、重い相手と戦うことが多い中で、フィジカルで負けないマインドでやっています。ロータックルで止めることもある」とするペネトレーターは、「体を張って、トライにつながるプレーをしたい」と意欲を見せた。
フランス代表の3番、テビタ・タタフについては「血縁関係は何もない」と明言した。
続いて登場の齋藤は、同じトゥールーズ所属でSH、フランス・ラグビーの大スターで、代表チームのキャプテンを務めるアントワンヌ・デュポンとピッチで対峙することについて問われ、「特別意識しない」と答えた。
大事なのは「自分たちがどう戦うか」と強調。「フランスは必ずキックをうまく使ってくる。その対応をしっかりしないといけない。敵陣では自分たちの強みであるスピードを生かしたアタックをしたい。デュポンと(SOのトマ)ラモスは必ずキーになる選手なので、2人にいいキックをさせない、いい判断をさせないようにしないと」と話した。
自身が出場しなかった日本×オールブラックスを見て、「どこでボールを手放すのか、どのエリアで攻めるのかの判断が大事」と感じた。
自陣から果敢に攻めるのもチームの強みのひとつも、特に均衡が保たれている時間帯には、敵陣で戦うことを考えて試合を作っていくつもりだ。
トゥールーズに加入した今季、ここまでに7試合に出場(2戦先発)している。
高いレベルのフィジカルバトルが当たり前の実戦面に加え、1か月半で7試合を戦うスケジュールやハードな移動を経験し、簡単ではないと覚悟して渡仏したものの、あらためて「ものすごくタフ」と感じている。
毎日の練習、試合ごとに学びがある中で、「自分からキックを蹴る機会が本当に増えた」。
コーチの指導を受けて、高さの出るキックを身につけつつある。強いプレッシャーの中で繰り返し蹴る中で、対応力も高まった。
「やってきた成果を試合の中でしっかり出すことが大事」と言う。
フランスで得たものは、スキル面の高まり以外にもある。判断と実行の決断力だ。
「チームのルールや(予定している)形がある中で、実際のゲームの中では、いろんなことが起こる。その時、目の前の状況に対して自分で判断する、イニシアチブをとってプレーする。そういうことがもっとも大事と、学びました」
日本代表にとっても、自分にとっても、スタッド・ド・フランスでのプレーは初めてのこと。さらに、チームメートが対戦相手にいる状況は、テストマッチでは初めてのこと。齋藤自身、「おそらく、今後深く印象に残る試合になる」と感じている。
完全アウェーの雰囲気の中でプレーすることは明らかだ。そんな空気は2022年の11月、トゥールーズでフランス代表と戦った際にも経験しているものの、スタンドの規模が大きく違う。
「2年前(のトゥールーズで)も、ナショナルアンセムの時からものすごい雰囲気でした。今回は、その倍以上の観客が想定されるので、大歓声の中でもコミュニケーションを取る工夫をしないと」
「自分たちから勢いを作り出さないといけない」とも話した。
午後3時過ぎからはスタッド・ド・フランスのピッチ上で、フランス代表、日本代表の順で、キャプテンズランがおこなわれた。
フランスメディアのカメラの先は、1年ぶりのテストマッチとなるデュポン主将。15分の練習公開時間の中、彼の一挙手一投足に視線が注がれ、続いておこなわれたメディア対応でも多くの質問が飛んでいた。
日本代表も予定より早い時間にピッチに姿を現し、いつものように赤白ジャージーを着て、ウォームアップやゲームリハーサルを繰り返した。
短い練習公開時間では分かることは少ないけれど、セットプレー、あるいは相手反則からの仕掛けなど、速さを生かしたプレーの確認が続いていた。
キャプテンズラン後は、冷えた体をあたためるために、フランス在住のラグビーの先輩たちと会食。飲んで、肉にかぶりつき、店内で流されていたアイルランド×オールブラックスを楽しんだ。
が、時差もあって眠い、眠い。ダブリンでの好ゲームは断片的にしか見ることができていない。もう一度、見直さなければ。
深夜の帰り道、街では多くの人たちが、飲んで、話し、その時間はまだまだ続きそうだった。
21時10分キックオフのフランス×日本でも、フランス国歌が大音量で何度も歌われるだろう。
その中で、サクラのジャージーがフランスサポーターたちに悲鳴を挙げさせることを期待したい。