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ラグビー日本代表は10月26日、神奈川・日産スタジアムでオールブラックスことニュージーランド代表に挑む。
向こうは世界ランクで11上回る3位。ワールドカップで通算3度の優勝を果たしている。
チャレンジャーの立ち位置にいるジャパンにあって、「絶対に勝つ。本当に勝つことを意識して準備します」と意気込むのは原田衛である。
今年ジャパンに初選出されたフッカーで、力強いコンタクトが売りの25歳だ。リーダーシップも買われていて、所属する東芝ブレイブルーパス東京では副将を務める。
10月16日から本格化した宮崎合宿の4日目、取材エリアで語った。
——オールブラックス戦が近づいています。今年、体制を刷新してスコッドを若返らせた日本代表にとって、大きなチャレンジです。
「本当に、僕は勝つことしか望んでいないというか…。何か、キャップ数(代表戦出場数)を稼いでも、ただ試合に出場しているだけじゃあんまり意味がないかな、と思っていて。勝っていかないと。勝ちに貪欲にやりたいかなと」
——そう強く思うようになったのはいつからですか。
「ずっと思っています。正直、『何100キャップ以上(2027年のワールドカップオーストラリア大会前のスコッドの総キャップ数を指してのことか)』を目標にするよりは、勝率のほうが大事なのかなと…。
多分、向こうはナメてると思うんで。…何か、(オールブラックス陣営のひとりが)『マークする選手はリーチ マイケルと堀江翔太』って言っているんですよ」
——来日後のイベントリポートでその発言に触れたのでしょうか。名前の挙がった2人はいまのスコッドにおらず、堀江選手に至ってはもう引退しています。
「そこはほんまに悔しいところで、僕らの実力が足りていないところですけど、本当に勝ちを目指していきたいなと」
——勝ったら、自分たちのやってきたことに自信が持てそうです。
「自信がつくというよりかは、そういう(勝つ)自信を持って練習しないと、一生勝てないと思うんで。本当に勝つ自信を、練習でつけたいなと思っています」
打倒オールブラックスへ、チームを率いるエディー・ジョーンズヘッドコーチも力強く述べる。
「若い選手にとっては大舞台で活躍できる、またジャパンらしくプレーできる大きなチャンスです」
「序盤から、我々のペースでプレーする。観客の皆さんが『どうした?』と思うようなプレーをジャパンらしく見せていく」
「自分たちができる限りベストな形で準備をすれば、勝つ可能性を高められる」
このジョーンズに、原田はよくプレー面の指摘をされるらしい。
約9年前までの第一次政権期と比べ穏やかになったとされる指揮官も、特定の選手にはあえて厳しく接しているのかもしれない。
原田はこうも語る。
——「勝ちに貪欲に」と強調しています。その思いを、他の選手に求めることもあるのですか。
「求める立場じゃないですよ。怒られてるんで。怒られ役に、なろうかなと。永遠に怒られている。ミスをしたらすぐに怒られる。ミスをしているんで僕が悪いんですけど。
でも、若い選手がいっぱいいるなか、僕がそれでも(叱責されても)練習し続けたら、日本代表にとってもいい効果があるのかなと。めげずにやっていきたいです」
——タフな役目を受け入れている。
「はい」
——逆に、褒められるタイプの人はいるのですか。
「ほとんどの人は、怒られないです」
——では、他に怒られる人は。
「(藤原)忍さんくらいです。…期待の裏返しやと思うんで、頑張ります!」
兵庫県出身で、中学時代から教育熱心な父と二人暮らしをしながら神奈川の桐蔭学園中、高に通った。他の同級生より半年遅れで入った慶大では主将となり、部内でのクラスター発生にも対処してシーズンを完走した。
日本代表に入ったいま、他の選手と異なる役回りを受け入れている。かつ、勝利だけを目指す。