![【Just TALK】「行けるところは行く」。矢崎由高[早大2年]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2024/10/2KAM6600_2.jpg)
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ラグビー日本代表は10月13日から動く。そのメンバーに選ばれた早大2年の矢崎由高は、代表合宿が始まる前日の12日、関東大学対抗戦Aの青山学大戦に先発した。持ち場のフルバックでフル出場した。
場所は群馬・太田市運動公園陸上競技場。注目の15番は、キックチェイス、わずかな隙間をえぐるラン、自陣深い位置からの速攻、多彩な形からの3トライでスタンドを沸かせた。67-0で開幕3連勝を飾り、自身はプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。
場内で挨拶を求められると、向こう2週間ほど離れる早大について言及した。
「今日は応援ありがとうございました。セットプレーの課題や自分たちのコミュニケーションミス、細かなハンドリングのエラーなどをしっかり修正して、明日のジュニア(選手権)の東海大戦、次の(11月3日にある対抗戦の)帝京大戦、しっかり勝ち切れるように頑張ります。応援よろしくお願いします」
今年約9年ぶりに復帰した日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチに将来性を買われ、6月以降は非テストマッチを含めると6試合連続でスターターとなった。
8月下旬からのパシフィックネーションズカップではカナダ代表との初戦を最後に離脱も、今回、10月26日のニュージーランド代表戦(神奈川・日産スタジアム)に向けた活動へ呼ばれた。
関係者の話を総合すると、13日からジャパンへ合流し、ニュージーランド代表戦後に早大へ戻る。ここから、前述の帝京大戦への準備に入るようだ。大学選手権3連覇中の帝京大とのバトルは、早大にとっての今季最大級の大一番と言える。
大田尾竜彦監督は、今回の矢崎招集の背景についてこう語る。
「何を選択するかの話。由高とも話をして、本人も納得して、『(代表に)行けるところは行く』と。僕自身もそういうことをしてほしい思いがあるので、そこはバランスを(取る)」
矢崎は青学大戦後、大田尾監督、スクラムハーフの細矢聖樹ゲーム主将とともに会見した。
司会者が「矢崎選手にはきょうの試合に限っての質問をということで、ジャパンの質問はお控えいただくようにお願いします」と切り出し、出席する報道陣がやや困惑するなか、矢崎は「…宮崎(日本代表の合宿地)で待っています」と笑わせた。

——まず今日の試合では、人垣へタフに突っ込むシーンもありました。心がけたことは。
「マインドの面では、自分のスタンダードを下げないこと。自分がどのグレードにいたとしても、自分のレベルは常に高くあり続けること。縦に行ったところは、シンプルに、僕がボールを持った時にディフェンスが前にいたという状況だと思います。そこで変に走るより、コンタクトエリアで前に出て、その後のチームのアタックを機能させるほうが最優先だと考えました。特別、意図があったわけではありません。うまくアタックが構成できるようにその時の最善を選んだ。それだけです」
——後半16分、自陣22メートルエリア左で得たペナルティーキックから速攻。ハーフ線付近中央まで駆け上がり、1年でスタンドオフの服部亮太のフィニッシュを引き出しました。
「前を見て(判断)。自分たちにとっても、敵陣に攻め込んだ後にペナルティを犯して、すぐに自陣に返されることは嫌なものです。チャンスがあれば常に(速攻を)狙うのは、まず第一です。それが、うまくいっただけなのかなと思います」
——ここまでのことを振り返ってください。日本代表として敵地バンクーバー時間の8月25日にカナダ代表戦に出場(○55-28)。その後、早大へ加わり対抗戦に出ています。どんな過ごし方をしてきましたか。
「自分がジャパンで得たものを還元する、ではないですけど…。それは、言葉でもそうですけど、プレーで皆を引っ張っていくのもそうです。やはり新しいところに行くと——それがどんな環境でも——新しいものが自分のなかに入ってくる。それを、バックスリー(ウイング、フルバック)をはじめ、色んな人に伝えられたらなと。
やはり、コミュニケーション、ポジショニングなどで、いままで『いい』と思っていたことで、(改めて)より『いい』と感じられたものがたくさんあった。僕を含め、それを知らないプレーヤーがばかり。自分たちでもっと(動きを)改善していくことも、僕の役目だと思っています」
矢崎の知見が組織を底上げする様子については、3年でインサイドセンターの野中健吾もこう証言する。
「細かいスキル、ラグビーの考え方をチームに落とし込んでくれています。大まかなところで言うと、スペースのあるところ(の周知)。またコミュニケーションの取り方のレベルが高いです。(指示の内容が)簡単で、シンプルで、聞きやすい。自分の立ち位置、何をして欲しいのかなど、細かなところまで伝え方がうまいと感じます。また彼のスピードは早大の武器。これをどう使えるかが、帝京大戦やこれからの『荒ぶる』(大学日本一になった時のみ歌える第二部歌)に向けて重要です」
再び矢崎本人が応じる。
——代表活動を経験したことで取り組み始めたトレーニングはありますか。また、その効果はどのような形で表れていますか。
「ジャパンでは、エクストラ(追加)で身体の足りない部分へのトレーニングメニューが渡されている。それはやったからといって1、2か月で結果が出るものではないので、これからも日々、やり続けて、パフォーマンスの向上を目指していきたいと考えています」
会見後はミックスゾーンにも現れた。2人の記者へ応じた。
そのうちひとりから帝京大戦への思いを問われ、「楽しみです。相手のことは意識しすぎず、積み上げたことを試合で発揮する。それに尽きるかなと」。もうひとりから「積み上げたこと」が「発揮」されれば勝てるイメージがあるのかと聞かれた。
「まぁ、負けると思って試合はしないですよね」
―—それにしても、あちこちへの移動が伴う過密日程下にあります。心身の疲れは。
「楽しいことをやっているので、疲れたというのも気にせず、自分のいる場所で一番のパフォーマンスを出す。それだけかなと」
きっと自分がどう見られているか、どう見られるべきかを把握している。件の会見では、こんな問答もあった。
――いま、もっとも有名な学生ラグビー選手のひとりになっています。その事実をどう捉えていますか。
「まあ、やはり、たくさんのところで——記事でもそうですけど——名前を出していただいて、自分の名前をたくさんの方に知ってもらっていることはもちろん自覚していますし、矢崎由高というひとりの人間がたくさんのところで見られているのもわかっています。ラグビーだけじゃなく、そういうこと(注目度)も頭に置いて生活しています」