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【Just TALK】「下を向いて元気がないと、自分の強みは出ない」。竹内柊平[日本代表]
チームの空気を明るくする人。積極性で道を切り拓いてきた。(撮影/松本かおり)
2024.09.15
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【Just TALK】「下を向いて元気がないと、自分の強みは出ない」。竹内柊平[日本代表]

向 風見也


 今大会初先発となる。

 ラグビー日本代表の竹内柊平は、9月15日、東京・秩父宮ラグビー場でのパシフィックネーションズカップの決勝ラウンド準決勝に出場。右PRのスターターとしてサモア代表に挑む。

 現地時間8月25日のカナダ代表戦(バンクーバー/〇55―28)、9月7日のアメリカ代表戦(熊谷・ラグビー場/〇41―24)という予選プールの2試合では、ベンチスタートだった26歳。直近のパフォーマンスを「正直なところ、あまりいい結果が出ていない」と振り返る。

 エディー・ジョーンズヘッドコーチからは最近、自分らしさを取り戻すようアドバイスをもらっていたようだ。

 話をしたのは試合前日(9月14日)。東京・明大八幡山グラウンドで全体練習を終えてからのことだ。

 直前まで取材を受けていたニール・ハットリーコーチングコーディネーターは、「TK(竹内の愛称)は、どこでも喋りすぎる傾向がある」。報道陣の待つエリアへ歩み寄った本人へも似たようなメッセージを伝え、笑顔でその場を去った。

 ハットリーと入れ替わるようにカメラの前に立った竹内は…。

「コミュニケーションを取ってチームを盛り上げるのが自分の役割。自分の強みであるエネルギーを出して、チームをどんどん後ろから盛り上げていければと思っています」

9月14日、サモア戦前日の練習は明大の八幡山グラウンドでおこなわれた。(撮影/松本かおり)

——サモア代表とぶつかります。焦点は。

「賢く、セットプレーを動かす。サモア代表はフィジカルが強く、セットプレーからモメンタム(勢い)を生みたいチーム。それに対し、自分たちはいいスクラムを組み、いいモールのアタックとディフェンスをして、相手の作りたいようなラグビーをさせないようにしたいです。自分たちのスピードで動かす『超速ラグビー』に繋げられるように、今週、準備してきました」

——「賢く、セットプレーを動かす」。これはスクラムの組み方なども踏まえて話していますか。

「これと言って『相手によってこうする』というものはないんですけど、しっかりと自分たちの低さ(を活かす)。サモア代表のスクラムは(位置が)凄く高いですけど、これまでやってきたパシフィックネーションズカップの相手のなかでは一番スクラムにスキルがあって、自分たちの意図したスクラムを組んでくるようなチームです。それに対して、自分たちは相手に合わせて組むのではなく、自分たちのスクラムを組めるように…」

——相手が力を発揮しづらい間合いで組む、というイメージでしょうか。

「そうですね。…えっと、はい!」

——ラグビー全体に関するフォーカスポイントを改めて。

「僕らの『超速ラグビー』というのは、相手より速く動くこと。他の方(選手)からも、『ゴールドエフォート』という言葉が出ていると思います。(意味は)ひとつのアクションで終わらず、セカンドアクションに行くこと。自分と一緒のポジションの相手選手よりも動くことも『ゴールドエフォート』です。相手より『ゴールド』で動く。素早く立ち位置に入る。そうして相手をばてさせる。走り勝つ。…そういう日本の DNA 的なところで勝とうというのが、今週、僕たちがしてきた準備です」

——ランとキックのバランス、テンポのコントロールについて。

「キックも多用していこうという話も出ています。キック後の(蹴り返しを受けての)カウンターでの被ターンオーバーが(カナダ代表戦までの)課題でしたが、アメリカ代表戦ではブレイクダウン(接点)での被ターンオーバーがゼロ。その強みを活かしつつ、キック合戦に勝って、クイックにセットする。目の前のラックを取ってしまうと(走者が無理に突っ込むと)、その後の反則で厳しく追い込まれるというのがジャパンの現状。そこを、もうひとつ、越える。もっと頑張る、という感じです。

 僕らは強豪国よりも絶対にきつい練習をしてきています。自分たちのやってきたことを信じることが、勝つのにいちばん大事な部分なのかなと。今週は、いままで自分たちがやってきたものをもっと信用する 1 週間でした。それが出れば、いい結果になると思っています」

——ここ2試合、竹内さんご自身のパフォーマンスはどう振り返られますか。

「正直なところ、あまりいい結果が出てないと思っています。でも、自分が下を向いて元気がないと、自分の強みは出ない。ここでこの 3 番(サモア代表戦のスタメン)を任されたのは自分にとって意味が大きいと思っています」

——ジョーンズヘッドコーチとの個人面談では何と言われていますか。

「まず、『自分を信じろ』というところです。『いままで努力してきたのもわかっているから、そこを出すだけだ。確かに調子が上がっていない、スランプみたいな時期に陥っているのはわかっているけど、切り替えて、自分を信じてやっていこう』と。言われたのは、今週の頭ですかね。

…絶対に勝ちにいかないといけないトーナメントで僕がいい流れを作って、勢いのある為房(慶次朗=リザーブの右PR)に託す。とはいっても、僕と為房に差があるとは思っていなくて、(出場の順番は)役割(の違い)です。

今回は相手のフィジカルに対抗し、圧倒し、いいスクラムを組むのが僕の役割です。いいバトンを為房に渡す」

身長183センチ、体重115キロ。九州共立大から当時あったトップリーグのトライアウトを経て、2020年に現所属の浦安D-Rocksの前身クラブ(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)へ加入している。

異色のキャリアを重ねてナショナルチームにのぼり詰めた元気印へ、ハットリーは「第1にスクラム、2 つめにディフェンス、3 つめにキャリーへフォーカスしてほしい。行動、アクションで皆を引っ張って」と期待を込める。

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