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55-28と大きく差をつけて勝った。
先制トライを奪い、ハーフタイムのスコアは38-7。締めくくりのトライも奪ったけれど、日本代表にとっては、すっきりしない勝利だった。
しかし、若いチームの初めてのアウェー戦という条件を考えたなら、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ体制下でのテストマッチ初勝利を手にできたことだけで及第点と考えるべきだろうか。
8月25日にバンクーバーでおこなわれたパシフィックネーションズカップのカナダ×日本で、青いセカンドジャージーを着たブレイブブロッサムズは、冒頭のスコアで勝った。
しかし、ハンドリングミスも反則も多く、序盤の勢いを最後まで保つことはできなかった。
試合開始のキックオフを蹴ったのはカナダ。
日本はその直後から、掲げる『超速ラグビー』を全開で遂行した。
自陣でボールを受けると、左右に大きくボールを動かしながら、前へ仕掛けることも忘れない。
2つの反則を誘ってPKで敵陣深くに入ると、FWでトライラインに迫る。その後、BKに展開し、最後は初キャップのWTBマロ・ツイタマが先制トライを挙げた(3分過ぎ)。
その3分後には、この試合でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたLOワーナー・ディアンズがラインアウトからの攻撃を仕上げた。
試合開始から8分で14-0とリードする、いい滑り出しだった。
ただ、試合を通してハンドリングエラーが多く、継続したプレーがミスで終わることも多かった。
2つめのトライを奪ったあとはしばらく攻め切れず、次の得点は20分過ぎだった。
この日3つ目のトライは22分。カナダがラインアウトから作った後のモールでターンオーバー。そこから攻めた。
CTBニコラス・マクカランが巧みにツイタマにつなぎ、FB矢崎由高がラインブレイク。FL下川甲嗣が5点を追加した。
26分には、それまで3つのコンバージョンキックすべてを決めていたSO李承信がPGを追加して24-0とする。
さらに28分、30分と、ディアンズ、CTBディラン・ライリーが続けてトライを挙げて38-0とリードを広げた。
ラインアウトからの攻撃の途中に出たミスからボールを足にかけられ、37分にカナダWTBアンドリュー・コーにトライを許して38-7とされるも、そのまま勢いを後半も保てれば、快勝できる流れだった。
しかし、ことはうまく進まなかった。
後半のトライ数は3つずつ。スコアでも21-17とカナダが上回った。
開始2分にディアンズ、下川でトライライン直前へ。最後に李がフィニッシュして45-7としたまでは良かったけれど、そこからカナダのファンが沸く時間帯が続いた。
5分過ぎは、キックオフレシーブ後のラックでボールを失ったスキを突いて、カナダFWが前へ出る。
NO8ルーカス・ランボールがインゴールにボールを置き、その5分後には、ラインアウトからムーヴ。HOアンドリュー・クァトリン、CTBタレン・マクマリンで追加点を奪う。スコアは45-21と、差は縮まった。
残り10分強で日本は2トライ、カナダは1トライ。決して勝敗がひっくり返るような内容ではなかったのだが、時間を重ねるごとに日本の動きに対応し、全員がいきいきと動き出したカナダの健闘が印象に残った。
日本は大勝しながらも、一貫性を保てぬ課題がこの試合でも見られた。
ジョーンズHCは試合後、「前半は自分たちの強み、フィジカルの強さとスピードを出して戦えた」と評価した。
そのモメンタムを維持できなかった後半については、「若いチームにありがち」と前置きして、「前のめりになりすぎていた。もっとはやく、という気持ちが出てコントロールできず、ミスが出た」と振り返った。
しかし、テストマッチで勝利を得た事実はチームのエナジーとなる。
「結果が出ないと信念がぼやっとなってしまうが、この勝利で、あらためて自分たちの信じるスタイルを追求していける」とした。
ゲームキャプテンを務めたHO坂手淳史も、「テストマッチで初めて勝つという選手も多いチームにとっては、(この勝利は)いい勢いになる。ここから次に進んで、(後日ふり返った時に)あの試合から流れが変わったよね、というようになればいい」と話した。
日本代表の次の試合は、9月7日に熊谷でおこなわれる、アメリカ代表戦。
80分、勢いあるプレーで圧倒する試合にしたい。