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【Just TALK】パリで5トライ。「日本は体が小さい分、他より組織力が断然強い」。梶木真凜[サクラセブンズ]
かじき・まりん。福岡出身の24歳。164センチ、68キロ。草ヶ江ヤングラガーズ→福岡工業大学附属城東高校/福岡レディースRFC→自衛隊体育学校 PTS(撮影/松本かおり)
2024.08.04
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【Just TALK】パリで5トライ。「日本は体が小さい分、他より組織力が断然強い」。梶木真凜[サクラセブンズ]

向 風見也


 サクラセブンズこと女子7人制日本代表は、現地時間7月28日から3日間参加のオリンピックパリ大会で12チーム中9位。正式種目に採用された2016年のリオデジャネイロ大会からの計3大会において、過去最高の成績を収めた。

 この結果を「悔しい」とするひとりは梶木真凜。チーム最多の5トライを決めた24歳は、初日にプールステージ(プールC)のアメリカ代表戦、フランス代表戦をそれぞれ7-36、0-49で落とし、メダル争いから遠ざかったのを残念がった。

 日本時間8月2日午後に帰国し、羽田空港で取材に応じた。

パリで5トライ。思い切りプレーした。(撮影/松本かおり)

――梶木選手にとって2度目のオリンピック。どういう大会でしたか。

「うーん、悔しい。1日目でベスト8(メダル争いに加わる決勝トーナメント)に行けないことが決まりかけて。立て直して、できる限りの最高順位を取ろうと思いました」

―― 2 日目以降は全勝。ブラジル代表との予選プール最終戦を39-12で下し、9~12位決定戦では南アフリカ代表、ブラジル代表と順にぶつかりそれぞれ15-12、38-7で勝利しました。

「自分たちの強みであるアタックができる機会が増えました。1 日目は全然アタックができなくて、ずっとディフェンスしている状態。それを改善したのが原因かなと」

――その間、梶木選手は5トライを奪いました。

「チームの皆でボールを繋いで、最後に決め切れたのはよかったです。ブラジル代表を相手に外で獲り切ったり、南アフリカ代表から試合終盤に2本、奪えたり。意地を出せたのかなと」

――チームで繋がって勝った印象です。

「他の国は一人ひとりのポテンシャルが高いから、ひとりでプレーできちゃう。日本は他の国より身体が小さい分、組織力が断然、強いです」

――それぞれ相手をタックルで倒したら、すぐに起き上がって次のプレーに参加していました。

「3年間、そこだけ意識してやってきました」

――ご自身の得意なディフェンスでの感触は。

「怖くなく、抜かれることもなく、いつもほどではないですけど、悪くはなかったです」

――今後に向けて。初日でぶつかったアメリカ代表、フランス代表のような相手に次のオリンピックで勝つためには、これからどんな積み上げが必要ですか。

「キックオフ、試合の入りで流れが決まる。そこの精度をどうしていくか。また一人ひとりの仕掛けたあとの動き出し、サポートをもっと厚くしていかないと、個人が強い相手には勝てないと思っています」

家族の応援も力になった。(撮影/松本かおり)

――キックオフでは、サイズのある上位国が自軍ボールで大型選手を落下地点に走り込ませてきます。

「(ボールを競り合う地点への)走り込み方、シングルポットを上げること(補給役を支柱役が持ち上げる動き)などいろんな対策はある。それを突き詰めます」

――では、個人で強化したい点は。

「スピード、筋肉をつけ、アメリカ代表やフランス代表の選手に1対1で負けないよう、強くなれればいいなと思います」

――今後の代表活動への意欲は。

「呼ばれる限りは行くつもりです」

――福岡工業大学附属城東高校卒業後、大学へ行かず自衛隊体育学校に入りました。競技活動に専念するためでした。その選択を振り返ってください。

「よかったと思っています。皆が勉強などをしている間、ひたすらラグビーに取り組める環境があるのはありがたいことです。オリンピック東京大会では(最下位と)結果が出なかったですが、(パリ大会で9位と)徐々に上がっている。(次回までに)あと4年間あるので、次はもっと上の順位になっていけるようにしたいです」

 大会中、双子の弟の馨太さん(日本製鉄八幡ラグビー部所属)が家族、親族らと現地観戦。サクラセブンズの勝利を受け、スタンドで号泣するシーンが中継映像に映っていた。

 ツインズはパリで連絡を取り合っていたようで、姉は「動画を見返すと、次の試合に向けて元気が出ました。毎試合、よかったプレーを言ってくれて、夜には電話もしてくれました」と感謝した。


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