またもスタンドは埋め尽くされた。
パリ五輪のラグビー(セブンズ)4日目。地元・フランスの優勝で、男子セブンズは前日に幕を閉じた。7月28日からは女子セブンズ。快晴のスタッド・ド・フランスには、この日も6万6000人のファンが足を運んだ。
よく晴れているものの、カラッとしていて過ごしやすい。日曜日ということで、スタンドには子どもたちの姿も多く見られた。
女子セブンズ日本代表、サクラセブンズのプールCでの初戦は、16時30分のキックオフ。相手は、HSBCワールドラグビー・セブンズシリーズ2023-2024の総合成績4位としてグランドファイナルに参加したアメリカだった。
サクラセブンズは最高の滑り出しを見せた。
内海春菜子が蹴ったキックオフボールを確保。一人ひとりが仕掛けながらフェーズを重ね、1分以上攻め続けた。
水谷咲良が抜け出し、インゴールに入ったのは1分15秒。内海のコンバージョンキックも決まり、7-0と先行した。
しかしこの試合、サクラセブンズの奪った得点は、それが最後となった。
サイズのあるアメリカにブレイクダウンで圧力をかけられる。タックルを弾き飛ばされ、走れられたシーンが重なった。
前半を7-22とリードされ、後半も2トライを追加された。
ボールを持てばアジリティーと細かなアングルチェンジで前に出られるのだがフィニッシュまで持っていけず、7-36と敗れた。
2016年のリオ五輪で4位と躍進した男子セブンズ日本代表の主将を務めた桑水流裕策さん(セブンズ日本代表59キャップ/現・ナナイロプリズム福岡ヘッドコーチ)さんは、試合の入りについて「一人ひとりがよく前を見てアタックできていたことのトライ」と評価するも、防御面に改善点があると指摘した。
「ちゃんと体を当てられているのに倒しきれていませんでした。その時、すぐにもう一人が寄って倒し、止め切らないといけない」
パワーのある相手の勢いを分断できず、押し切られた。
個々が勝負し、ハーフブレイク。プレーを継続して攻めるプランは実践できていた。その部分は自信になったはず、と見る。
「ただオリンピックになると、走り切れると思ったところで追いつかれたり、そういうことが起こる。最後の最後まで、7人全員が(スイッチを)切らないことが大事です」
良いところもあった。結果を問わず戦いが続くセブンズは、「1試合ごとに切り替えることが重要」という。
「2試合目の方が初戦より体が動くことの方が多いので、すぐに次へ進めばいいと思います」
20時30分からおこなわれた次戦の相手はフランス。満員のファンが大声援を送る。異様な雰囲気の中でキックオフとなった14分間は、その多くの時間をディフェンスに使うことになった。
0-49の大敗だった。
開始40秒過ぎに先制トライを許す。
必死にタックルしても繋がれ、どんどん走られた。ハーフタイムまでに4トライを奪われて0-28。後半も3トライを追加された。
サクラセブンズは、まったくいいところがなかったわけではない。
前半、中村知春が独走してフランスゴールに迫るシーンがあった。
試合終了前にも深く攻め込んだ。
桑水流氏は、「1試合目よりタックルは良くなっていました。しかし、今度はオフロードでつながれた。ボールを殺すところまでいかないといけない」と言う。
アタックでは防御の裏に出て好機は作れても、そのあとが続かなかった。
初戦で指摘のあった、「オリンピックになると走り切れないことが出てくる。7人全員が最後まで動き切らないといけない」の言葉が思い出される。
「フランスのファンの大声援もありました。その空気の中で、いつものプレーとは違ったかもしれません。チャンスに取り切れないところを解消することも含め、全員がもうひとつギアを上げてプレーすることが必要です」
2日目はブラジルとプールステージ最終戦を戦い、順位決定戦へ進む。
結果を追うより、培ってきた自分たちのスタイル、力を出し切ることにフォーカスすべきだ。