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「芦別からでもやれる」。日本代表SH小山大輝、故郷での初先発に燃ゆ
家族や親戚、約10人が応援に駆けつける。(撮影/松本かおり)
2024.07.21
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「芦別からでもやれる」。日本代表SH小山大輝、故郷での初先発に燃ゆ

田村一博

 故郷で、9番のジャージーを着てプレーする。
 日本代表で初めて先発となっただけでも嬉しいのに、こんなに誇らしいことはないだろう。

 7月21日に札幌ドームでおこなわれるイタリア代表戦。日本代表SH、小山大輝の胸がいつも以上に高鳴っている。

 試合前日の会見で、「超速ラグビーです。テンポのはやい(ボール)さばきはしたいのですが、すべてのシーンではやくいくわけではありません。タッチに出すところは出して、ゲームコントロールをしていきたいと思っています」と話した。

「北海道にこういう形で戻ってこられて嬉しい」と相好を崩した。
 ファンに勝利を届けたい。

 SOを務めるのは松田力也。埼玉パナソニックワイルドナイツでコンビを組んできた。
「コミュニケーションも取りやすいので、うまくいくかな、と思います」と頼もしい。

 前週のジョージア戦(7月13日、仙台)、途中出場で初キャップ。10月には30歳になる。遅い代表デビューと言っていい。

「ファーストキャップ(獲得まで)は、すごく長い時間がかかっちゃいましたが、すごく嬉しい」と素直に喜びを言葉にする。

 歩んできた道を振り返り、「日本代表を目指していると口では言っていましたが、(ワイルドナイツに入ってからの)最初の3年間は、代表になるための行動ができていなかったと思います」。
 試合への出場機会が増えたことで、行動力も責任感も、意識も高まった。

 北海道の真ん中のやや左下、芦別市の出身。その地について、「コンビニやスーパーがあるぐらいで、遊ぶところもほとんどない」と言う。
 中学3年時まで野球部。ショートを守っていた。芦別高校に入学後、本格的にラグビーを始めた。

ディフェンスには自信がある。(撮影/松本かおり)

 札幌ドームは幼い頃、野球観戦のために訪れたことがある。新庄剛志監督が現役の頃で、森本稀哲、稲葉篤紀らと仮装して登場した試合だったように記憶している。
 ラグビーを始めても誰か憧れの選手がいるわけでもなく、ただ楽しくて楕円球を追っていた。

 そんな自分がトップチームで活躍を続け、いま、赤×白のジャージーを着ている。
 成長のスピードこそ人それぞれ違うが、誰にでも可能性はある。

「田舎の出身です。芦別からでもこうやって代表になり、国を背負って戦っているところを見てもらえたら。元気を与えられたらいいな、と思います」
 自分の姿を見てラグビーを始める子どもたちが、一人でも多く出てきたら本望だ。

 インターナショナルレベルでプレーをしてみて、「思っていた通り、世界の壁はすごいな、と感じています」と話す。
 その相手から勝利を得るには「自分たちの強みを出すこと。そこを徹底していきたい」とシンプルだ。

 家族など約10人が応援にかけつける。日本代表サマーシリーズの最終戦。世界を驚かすスピードで、イタリア撃破のニュースを発信する。 

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