logo
ジョージアの子どもたちがいちばん憧れるのはプロップなのですか?
屈強な男たちの中心に立つNO8ベガ・ゴルガゼ主将(写真中央)。(撮影/松本かおり)

ジョージアの子どもたちがいちばん憧れるのはプロップなのですか?

田村一博


 あの言葉が本当なのか確認するチャンスだ。
 かつてサンウルブズ、クボタスピアーズ船橋・東京ベイでプレーしていたジャバ・ブレグヴァゼ(ジョージア代表キャップ67)は、日本チーム在籍時、「私の国では、子どもたちが一番やりたいポジションはプロップ。みんな憧れている」と言っていた。

 7月13日、宮城・ユアテックスタジアム仙台で日本代表と戦うジョージア代表が、試合前日に同スタジアムでトレーニングをおこない、報道陣の取材を受けた。
 前述の「子どもたちが一番やりたいポジションはプロップ」についての質問が出た。主将を務めるNO8ベガ・ゴルガゼとFBダヴィト・ニニアシュヴィリが回答した。

「統計的、それから経験的にも、例えばフランスのリーグでプレーしているジョージアの選手というと、プロップということが非常に多い。(ジョージアは)プロップ生産工場とも呼ばれています」

 そう話したゴルガゼ主将は、その現実を前提に、「(子どもたちが)他国のリーグを見たときに、『あ、またジョージアのプロップがいる』となると、やはり憧れるでしょう」と表情を崩した。

 そして付け加えた。
「ただプロップだけではなく、隣にいるダヴィトのように、肉体的に強く、俊敏で、速い選手もいて、フランスのリーグで活躍している選手たちもいます。子どもたちがプロップに憧れるのはとても嬉しいのですが、違うポジションで活躍している選手も見てもらい、他のポジションもいいな、と思ってもらえるといいと思います」

 日本代表との試合については、「パワーを生かしたスクラムが鍵になる。フォワードで日本を支配していきたい」と強気の言葉を口にした。

 今回の試合の翌日が22歳の誕生日と若いニニアシュヴィリは、2023年のW杯でも躍動し、個人スタッツで高い数値をマークした。世界から注目される好ランナーだ。
 すでに30キャップを持ち、仏・トップ14のリヨンで活躍中だ。

 ニニアシュヴィリは、「ジョージアは食べ物がとてもおいしい。なので、食べることが好きな選手たちは体が大きくなり、いいプロップになっています。ただ、私のように、あまり食べることに興味がない選手はバックスでプレーしています」とジョークで回答した。

報道陣からの質問に対し、にこやかに対応する3人。左から、FBダヴィト・ニニアシュヴィリ、NO8ベガ・ゴルガゼ主将、リチャード・コクリルHC。(撮影/松本かおり)

 同席したリチャード・コクリル ヘッドコーチ(以下、HC)はイングランド出身。異国の地で指導にあたっているからこそ気づく、ジョージアラグビーの特別さがある。
「ジョージアでは、もともとレスリングや重量挙げが盛んで、強い。そういう土台を持っている選手たちは、自然とラグビーのフォワードに向いています」と話す。

「そういう肉体的なことがある上に、人としての性質が非常にラグビーに向いています。謙虚。そして、一生懸命に努力をする。ハードワークを厭わない。それは、国の歴史が非常に困難なものであったことに基づいているのではないかと思います」

 同HCは「ジョージアの人たちは遺伝子レベルで肉体的に強く、体がしっかりしている」とし、それはフィジカルの強さで相手を押すだけでなく、ボールを持って走るという、バックスの能力にもつながっていると言う。

「結果、私たちはオールラウンドなチームとなっている」と、チームの総合力に自信をみせた。 

ALL ARTICLES
記事一覧はこちら