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【Just TALK】「不安とかを考えていたらプレーはできない」。矢崎由高[日本代表]
2004年5月12日生まれ。180cm、86kg。高槻ラグビースクール(4歳/幼小)→吹田ラグビースクール(中)→桐蔭学園高校→早稲田大学2年。日本代表(キャップ1)、JAPAN XV、U20日本代表、高校日本代表。(撮影/松本かおり)
2024.07.08
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【Just TALK】「不安とかを考えていたらプレーはできない」。矢崎由高[日本代表]

向 風見也


 6月22日に20歳ながら日本代表としてテストマッチデビューの矢崎由高は、7月6日、猛暑日の愛知・豊田スタジアムにいた。
 
 JAPAN XVの先発FBとして、マオリ・オールブラックスに26-13で勝った。
 
 7日前に東京・秩父宮ラグビー場で10-36と敗れた相手を下した格好。先制トライを引き出す好キック、スタンドを沸かせるカウンターアタック、献身的なキックチェイスが光った。
 
 身長180センチ、体重86センチの早稲田大学2年生は、現体制初白星でもある今度の勝利をどう捉えているか。

「日本としてもマオリ・オールブラックスに勝利したことがなかったこともあり、エディージャパンでも初めての勝…」と語ったところで、その背後をエディー・ジョーンズが通った。JAPAN XVおよび日本代表のヘッドコーチだ。笑顔で言い残した。

「(ゴール)キックは50パーセント!」

 この「キック」についてはひとまず脇に置き、矢崎はそれ以外の動き、この夜の心境を振り返った。試合後、取材エリアで複数のメディアに応じた。

——前半9分頃。敵陣10メートル線付近左中間で飛び出す防御の裏側へキック。その弾道をウイングの根塚洸雅が追いかけたことが、10分の先制点の呼び水となりました。

「洸雅さんからもいいコールがあって。その(蹴るのにちょうどよい)スペースが空いてくることは、(事前の)話し合いのなかで挙がっていた。ある程度、想定されたプレーだと思います」

——利き足とは逆の左でのキックでした。

「やっている時に不安とかを考えていたらプレーはできない。その時の自分を信じて、見えたスペースを(活かす)正しい判断ができたと思います」

——その後は鋭いカウンターアタックを重ねました。

「ミスマッチなどのいい条件が重なって、優位な状況ができて、そこで自分の持ち味を出そうとしました」

——陣地を奪い合う局面でのキックチェイス、鋭かったです。

「マオリ・オールブラックスはアンストラクチャー、カウンターアタックを強みとしているチーム。少しでもその自由を奪うといった面でも、キックチェイスは頑張ってやろうと思って試合に臨みました」

——猛暑日にボールを持たずに走り続ける。簡単ではないはずです。

「天候、環境のアドバンテージは少なからず(ホストの)JAPAN XVにある。自分がしんどいぶん、相手もしんどいと考え、走るべき場面でしっかりと走れました」

——あらためて、ジョーンズヘッドコーチの指摘通り、後半33分からゴールキッカーを務めました。2本中1本成功です。

「(過去に)蹴ったこと自体はあるのですが、山さん(スタンドオフの山沢拓也)、(スクラムハーフの齋藤)直人さん(それぞれキッカー)が交代して、消去法で僕に行きついた」

——この勝利を経て、手応え、自信は。

「自分のボールキャリアの部分、オフ・ザ・ボールの部分は、コミュニケーションが取れて少しはよくなったと思います。でも、まだまだフィジカルの部分、スキルのミスが露呈している。直していきたいです」

 現象とそれにまつわる心境を淡々と整理していた。

マオリ・オールブラックスとの第2戦ではキッカーも務めた。(撮影/松本かおり)


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