後半18分からの5分間は、さながらレスリングか相撲の立ち合いの連続のようだった。
格闘技の国、ジョージアが得意とする領域で日本代表はトライを挙げた。
自陣からワイド、高速に攻めてジョージア陣に攻め込んだ後、ゴール前での肉弾戦の時間が訪れた。そこで一歩も引かなかったサクラのジャージーは、機を見て大きく左へ展開する。
背番号11の長田智希がロングパスを受けて、左中間インゴールにボールを持ち込んだ。
SO李承信のコンバージョンキックも決まり、スコアは23-18。残り17分のところで、日本代表は逆転したのだが……最後は笑えなかった。
7月13日の夜、宮城・ユアテックスタジアム仙台でおこなわれたテストマッチで、日本代表はジョージア代表に23-25と競り負けた。
試合後の会見では「悔しい」、そして「学び」の声が何度も出た。
前半は10-18。日本代表は得意の時間帯、試合開始直後に先制点を奪った。
敵陣中盤、右サイドから高速で攻め、効果的にFWがタテへ。相手の防御が乱れたところで、ラックから出たボールをSH齋藤直人がさばく。死角から走り込んだWTBジョネ・ナイカブラがディフェンダー間をぶち抜いてトライを奪った。
SO李のゴールキックも決まり、7-0と好スタートを切る。しかし、その後は思うように攻められなかった。
9分、12分と相手にPGを許し、自分たちも17分に3点を刻んだ(10-6)。
20分からハーフタイムまでに2トライを許した。
一つは反則後のPK、ラインアウトからのモールを押し切られた(20分/10-11)。もう一つは、ラインアウト後にFW、BKの一体となった攻撃を受け、11フェーズを重ねられた後に飛び込まれた(28分/25分にPGで加点していたため13-18に)。
最初の失トライ前、FL下川甲嗣がクロコダイルロール(タックルエリア内で相手を捻って倒す行為)で(イエローカード提示後に)レッドカードを受けた。
2つのトライとも、14人になってから奪われたものだった。
後半、14人の日本代表は全員がハードワークを続けた。この日LOに入ったリーチ マイケル主将は、「ボジティブに。いつも通り、自分の役割を果たそう」と声をかけ続けたという。
重量級の相手に体を張り、走り続けた。
16分にPGで16-18と差を詰めた後、18分過ぎに冒頭のシーンを迎えた。10フェーズを重ねて奪ったものだった。
しかし、後半34分に逆転を許した。
スクラム、ラインアウトと反則を重ね、ゴール前に迫られた。LOサナイラ・ワクァにイエローカードが出され、赤白のジャージーは13人に。FWのパワープレーでトライを奪われて同点とされ、勝ち越しのゴールキックを決められた。
エディー・ジョーンズ ヘッドコーチは記者会見が始まると開口一番、「がっかりしました」と言った。
選手たちの戦う姿勢は評価するも、60分間を14人、あるいは(最後の10分間を)13人で戦わなければいけなかったことを「力不足」とした。
相手の圧力に屈した。
「これ以上ないという立ち上がりだった」が、14人になって選手たちの心が乱れたように見えたという。
その時間帯に防御が乱れてトライを許したのは、若い選手も多く、経験の少なさからだ。
しかし、「キャプテンのリーチがチームをうまくまとめ直してくれた。後半はよく戦えた」と、チームの修正力を称えた。
「こういう試合は、長く頭に残るもの。グッドレッスン」と言い、悔しいけれど成長の糧になる一戦だったとした。
リーチ主将は、ファンの前で「このチームは4年後、必ず結果を出します」と話した後、会見で「自分たちの強み、弱みがはっきりした試合」と振り返り、改善を続けていくと先を見た。
また、ウォーターを務めた立川理道の存在感について、「とても良かった」と話した。
トライを取られた後、次のキックオフからどう攻めるか。ジョーンズHCからの指示も、立川を介して伝えられると、より分かりやすい。
7月21日に札幌でおこなわれるイタリアとのテストマッチには、この日までに出た課題を修正して超速ラグビーで勝利をつかみにいく。
より速く、よりハードに戦う。