Keyword
「スタートの20分が重要になってくる」
そう語るのは、マオリ・オールブラックスの指揮官ロス・フィリポだ。NZのラグビー番組に出演し、JAPAN XVとの第2戦目(7月6日、豊田スタジアム18時キックオフ)もしっかり勝ちに行く姿勢を見せた。
6月29日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた第1戦は、先日25歳の若さで亡くなった、WTB/FBコナー・ガーデンバショップに対してJAPAN XVから追悼ジャージが贈られた。それに関してNZ国内のメディア、ラグビーファンからは、感謝の意を込めたコメントがたくさん出た。
試合は、マオリ・オールブラックスが36-10のスコアで圧勝した。しかしながら、序盤は勢いがあったJAPAN XVに終始押され気味だった。それに関してフィリポHCは、「最初の20分間は、非常にオーガナイズされたJAPAN XVにプレッシャーを受けた」とコメントし、相手の序盤のパフォーマンスを評価した。
マオリ・オールブラックスの失トライは2つ。開始5分に奪われたあとは、プレッシャーを受けながらもディフェンスで耐えた。そしてチャンスを迎えるときっちりトライを取った。
対照的にJAPAN XVは再三チャンスがありながらも、細かいミスなどで取り切れない展開が続いた。
時間が経つにつれて、徐々にマオリ・オールブラックスの選手の動きが良くなり、試合を有利に進め合計6トライを奪った。
タイトな日程で迎えた第1戦で準備不足と慣れない気候のにもかかわらず26点差での勝利は見事と言えるだろう。マオリ魂にアッパレだ。
NZ国内でもこの試合が放送された。Sky Sportsのスタジオには、ゲストでブラックファーンズ(ラグビーNZ女子代表)のSOルアヘイ・デマント、浦安D-Rocksでプレーしている元ブルーズのSOオテレ・ブラックの2人が、時折り流暢なマオリ語を挟んでのコメントをしていたのが印象的だった。
試合の解説は、静岡ブルーレヴズで2シーズンのプレーを終えてNZに帰国しているSHブリン・ホール。実況と共にJAPAN XVのスクラムと15番の矢崎由高のランニングスキルを何度も絶賛していた。
初戦で圧力を受けたスクラムへの対策も練った
7月4日、第2戦のメンバー発表があった。
第1戦の試合直前でふくらはぎの負傷で急遽欠場したPRジョー・ムーディーのケガが癒えず、ポウリ・ラケテ・ストーンズ(ハリケーンズ)が1番に入ることになった。先週スクラムでJAPAN XVに押し込まれているだけに、ラケテ・ストーンズに期待がかかる。
先週ベンチスタートだったFL/N08テ カマカ(TK)・ハウデンがこの試合では6番で先発。それによりキャメロン・スアフォアが8番にシフトチェンジとなった。
13番に入ったラメカ・ポイヒピは前戦、途中出場ながらも2トライを挙げる活躍だった。今週はゲームキャプテンを務める。第1戦から先発メンバーの変更はこの3人だ。
ベンチを見ると、ムーディーの離脱で急遽ベンチ入り。マオリ・オールブラックスのデビュー戦を終えたPRベネット・クメロアが18番を付けて今週もピッチに出るタイミングを待つことになった。
出場すればマオリ・オールブラックスデビューとなる選手も3人もいる。
20番のFL/NO8ニコラ・ブロートン(ハイランダーズ)は、スピードがありダイナミックなランが魅力で将来が楽しみな選手だ。ぜひ注目してほしい。
22番にはSOタハ・ケマラ(クルセイダーズ)が入った。現オールブラックスHCのスコット・ロバートソンから声をかけられて昨年クルセイダーズでデビュー。抜群のセンスを持っているだけに開花が待たれる。
23番のコーリー・エヴァンズ(ブルーズ)は、タレント揃いのブルーズのBK陣の中で今季は10試合出場している。CTBだけでなくユーティリティープレーヤーとして幅広い活躍が出来る選手だ。
第1戦に続き、第2戦も先発メンバーはもちろん、ベンチも含めて強力な布陣となった。
準備期間が短かった第1戦については、フィリポHCから「シンプルに戦うことに徹した」とコメントがあった。しっかりと準備期間を得た第2戦は、コンビネーションが良くなっているだろう。オプションを増やしてJAPAN XVに挑む。HCの言うように、マオリ・オールブラックスの「スタートの20分」に注目したい。
対するJAPAN XVは、スクラム、工夫を凝らしたアタックは通用していた。細かいミスを無くせば競った試合が期待できそうだ。
キャップホルダーの数名の追加と、ベンチ入りしたベテランのCTB立川理道の経験がチームに良いスパイスを与えられるか注目される。
2連敗は避けたいJAPAN XV。スタートの20分で試合を決めにいく意気込みが感じられるマオリ・オールブラックス。2戦目は接戦が見たい。