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最終日は青空が広がった。歌声が響く。レフリーのホイッスルが心地いい。
ナイストライがいくつもあった。
6月22日、23日、弘前市運動公園陸上競技場(青森)で女子ラグビー大会、『オーバルズカップ2024』が開催された。
ホストチームの弘前サクラオーバルズを含む7チーム(女子セブンズ)が全国から参加したほか、様々なカテゴリーの試合が組まれた。
今回で3回目の大会は、参加する選手たち、観る人、支える人のすべてが笑顔になる内容だ。楽しさ日本一の大会を目指している。
試合そのものがエキサイティングなのは当然、青森出身のタマ伸也さんのミニライブあり、東京サントリーサンゴリアスの選手たちによるエキシビションの時間も設けられた。
ユース世代の試合もあり、幅広い年代のラグビー愛好家がいた。
スタジアムの前の広場にはキッチンカーもたくさん出て、楽しめる要素が詰まっていた。
女子セブンズの部で優勝したのは北海道バーバリアンズ。2日目の上位トーナメント決勝でRKUグレースを26-5と破り、頂点に立った。
5月に開かれた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2024昇格大会で優勝した同チーム。そのいい流れは続いている。
この大会でキャプテンを務めたオリビア・リチャードソンは、「とても楽しかった。みんながポジティブにプレーしてくれたお陰」と笑顔を見せた。
若い選手たちが長くプレータイムを得られたことを喜んだ。
「試合を通して、何が良くて、何が足りないかが分かって、これから何にフォーカスすべきか分かったと思います」と手にした収穫を話した。
弘前サクラオーバルズはPTS・立正大合同との3位決定戦に21-7と勝利して大会をフィニッシュした。
6月中旬にフランスで開催された世界学生選手権に参加し、金メダルを獲得した新居里江子の成長が著しい。積極的にボールタッチを増やす姿勢は高まった自信からだろう。何度も快走を見せた。
同チームで常に先頭に立っていたのは片岡瑞帆だ。日本代表キャップ11を持つ29歳。2023年はニュージーランドに渡り、オークランド代表として活躍。国内選手権優勝に貢献した。
2021年から弘前で暮らしている。
片岡は、「やっと今年のメンバー全員が揃って戦えたことが嬉しいし、地元の人たちの前でプレーできて楽しかった」と笑顔を見せた。
チームはニュージーランドから新しいヘッドコーチを招き、フィジー人選手2人が加入。結束も高まっている。
個性豊かな選手たちを束ねているのが主将を務める片岡だ。東京出身も、岩木山の眺めのいい土地での生活を気に入っている。
仕事とラグビーを両立させている。地元の人々、チームメートは優しい。多くの愛情に包まれる日々は居心地がいい。
「実家に帰ると、津軽弁になっているよ、と言われました」と笑う。
「弘前にどっぷり浸かっています」
ラグビーが楽しい。毎日が充実している。チームソング『Da Enjoy!』の振り付けも完璧だ。
「今年30歳になるのですが、いまが一番調子がいい」と、頼もしい。
少年たちとのタグラグビーに興じ、トークショーにも参加。新鮮な魚介類も楽しんだというサンゴリアスの中靍隆彰は、笑顔が溢れるローカルのセブンズ大会に参加して、「自分の知らない世界がここにありました。楽しい。おいしい。最高ですね」と表情を崩した。
クラブチームの試合、弘前サクラオーバルズ男子×ノースフォレストを眺めていた。
同い年の友人、三上匠(ノースフォレスト/元埼玉パナソニックワイルドナイツ)、小笠原駿(オーバルズ/元秋田ノーザンブレッツ)が出場していた。
「昔からの友だちで、今回、僕が来ると知って連絡をくれました。思わぬ再会。これも良かった」
ここにも、青森、弘前を好きになった人がいた。また来たくなる大会だった。