![【Just TALK】佐々木はいい。リッチー・モウンガ[東芝ブレイブルーパス東京]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/02/PXL_20250213_024909915.MP_.jpg)
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以前と比べて明るい髪の色をしている。
「特に理由はないです。何か違ったことを、と」
ニュージーランド代表として56キャップ(代表戦出場数)を誇るリッチー・モウンガは、日本のリーグワン1部の東芝ブレイブルーパス東京で2季目に突入している。
昨季はチームにとって14シーズンぶりとなる日本一に輝き、自身もリーグのMVPを獲得。今季も注目の的だ。
2月9日は敵地の熊谷ラグビー場で、埼玉パナソニックワイルドナイツとの第7節に挑んだ。前年度のファイナルと同じカードできれのある動きを重ね、28-28とドローで終えた。
「リーグワンのスタンダードを設定してくれるチームに勝てなかったことは悔しいですが、(前半ビハインドも)突き放されず、拮抗した状態で試合を終えられたのはよかったです。私は常に(防御)ラインへ仕掛け、チャンスがあれば自分で行くことを意識しています。後半はそれができた。続けていきたいです」
話をしたのは2月13日。都内の拠点にあるウエートルームでのことだ。一時的にコンディションを崩していたこと、復調しつつあることも明かした。
——昨年12月29日の第2節(東京・味の素スタジアムで三菱重工相模原ダイナボアーズに61—8で勝利)のハーフタイムに退いてから、2試合連続で欠場しました。いまの状態はいかがですか。
「よくなってきました。股関節(の負傷)でしたが、だいぶ回復しました。いまのところ、痛みの出やすいゴールキックだけは蹴っていません。そこは調子のよい(フルバックの松永)拓朗に任せ、自分のできることをしています。それがベストかなと」
——ゲームに出ながら治療をしているのですね。
「もし 100パーセントの状態にして戻ろうと思ったら、おそらくあと 1か月くらいはかかってしまいます。そのあたりはバランスを取りながら考えます。疲れた時は痛みが出てしまうので、その時は走る量を減らしている。ただ、プレー自体はできます。
股関節の怪我に関してはこれが初めてではなく、過去にも何度かありました。まずは自分が100パーセントの状態ではできないことを認め、治しつつ、プレーできるように…とやってきました」
——調子を取り戻しているのも明らか。ワイルドナイツ戦では、味方センターのセタ・タマニバル選手の外側へ回り込んでパスをもらい、アタックする動きが光りました。
「セタは大きく、強い。試合前から、『そのプレーが(ワイルドナイツを崩すのに)合うよね』という話もしていました」
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——入部2年目。以前より連携が密になったり、やりたいことがしやすかったりはしますか。
「慣れてきました。快適に過ごせるようになった。ゲームプランもシーズンを通してよくなっている。ただ、チームとして相手を突き放し切れないところが課題。そこをよくしたい」
——ご自身の役割の変化は。
「特にありません。コーチも、自分には『スペースがあったらどんどんゲインしてくれ』と言ってくれています」
——相手に警戒されながらも活躍するためにしていることは。
「スペースへ仕掛ける。それを自分の周りにだけではなく、外側、裏側とフィールド上の全部を見ておこなっているつもりです。相手が私を注視してくるのは理解している。それによって、他のスペースが生まれることもまた」
ここまで通算5勝1敗1分。15日には東京・秩父宮ラグビー場で第8節に臨む。
対する東京サントリーサンゴリアスのフランカーには、サム・ケインが名を連ねた。モウンガにとっては、ニュージーランド代表時代の仲間である。
南半球のスーパーラグビーでは、かたやチーフスの主将兼名タックラー、かたやクルセイダーズの鋭い司令塔といった立ち位置でしのぎを削ってきた。
ケインはモウンガをこう見る。
「どの試合においても影響力がある。色々な方法でインパクトを与えられます。その力を最少化するには、我々のフォワードがパフォーマンスを上げなくてはならない。(接点から)彼が求めるクリーンボールを出させないようにして、ディフェンスでは皆でコネクションを取る。彼は疲れたディフェンダーを狙うのに長けていて、フットワークがよく、コンタクトも強いので。ただ一方で、リッチーがやることにフォーカスし過ぎず、自分たちのすべきことに集中したいです」
今度のバトルは、同じ地域を本拠地とする者同士の「府中ダービー」でもある。モウンガはこう意気込む。
「サンゴリアスとのライバル関係については皆から話を聞いて、ちょっとずつ理解していった。サンゴリアスはどの相手にも勝てる力のあるチーム。試合は強度が増すでしょうし、ファンの人たちも喜んでくれる面白い展開になるんじゃないでしょうか」
共同取材の最後には、競技の妙味へも触れた。
最近は選手やチームについて様々な数値(スタッツ)が出される。リーグワンが公式にアナウンスする各節のベストフィフティーンも、それをもとに選定される。
過去ワールドカップに2度出場のモウンガは、厳然たる数字に敬意を払いながらも異なる価値基準について語った。
——数値とパフォーマンスの関係性について、ご意見を聞かせてください。
「難しいところですね。スタッツで一定のよしあしがわかる一方、トライセーブタックルなどのビッグプレーなど、スタッツだけでは示せない試合への大きなインパクトというものも存在しています。選手としては自分の役割を全うし、全力でプレーすることで、チームにいい影響を与えたいです」
この論旨で例に挙がったのは、チームメイトでフランカーの佐々木剛だ。30歳のプレーメーカーは、3歳年下のハードワーカーを「ディフェンスで頼りになる。常に献身している。観客にとって目立ったプレーは少ないですが、小さいことをよくやってくれます」と讃えた。