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スポーツライターの藤島大さんがパーソナリティを務めるラグビー情報番組「藤島大の楕円球にみる夢」が、2月3日(月)、夜6時からラジオNIKKEI第1で放送される。
今回のゲストは日本代表で三重パールズ所属の齊藤聖奈。主将として出場した2017年大会、コロナ禍で1年遅れの2022年大会に続き、今夏(2025年)にイングランドで開催されるワールドカップへの出場を目指している。
バックローだけでなくフッカーも対応可能なフォワードプレーヤーながら、代表でもパールズでもチームでいちばんのトライゲッターと言っていい同選手。
2月2日に秩父宮ラグビー場で行われた第11回全国女子ラグビーフットボール選手権大会決勝、東京山九フェニックス戦でもチーム唯一のトライを挙げたのはこの人だった。
その試合には5-13と敗れ、4年ぶりの日本一は逃した。しかし齊藤は試合後の記者会見で清々しい表情をしていた。
女子ラグビーの国内頂上決定戦が、秩父宮ラグビー場で単独で開催された。そして、その一戦に熱心なファンが駆けつけてくれたことが嬉しかった。
「雨にもかかわらず、たくさんのお客さんに来ていただいて、試合中も、多くの歓声が聞こえました。フェニックスがベストパフォーマンスを出し、私たちも全力で戦った。女子ラグビーっておもしろいと、興味を持ってもらえたかなと思います」と話した。
番組の収録は、全国選手権決勝の数日前だった。なぜ自分がトライラインを何度も越えられるのか、その秘訣も話した。
聞き手が、他にもトライを取るコツがあるでしょう、どこを見ているのか、と核心に迫る様子はまるで取り調べのようだ。
今季パールズに加わったワールドクラスの選手、ポーシャ・ウッドマンの日常についても明かす。
齊藤は1992年5月30日生まれの32歳。大阪府富田林市出身だ。兄の影響を受けて6歳の時に富田林ラグビースクールに入った。
中学時代は一時期バレーボール部に入るも、関西ユースに選ばれたこともあり、再び楕円球の世界へ。四天王寺羽曳丘高校に進学し、阿倍野HOLLY’S(クラブチーム)でもプレーした。
大阪体育大学を経て三重の女子ラクビーチーム「PEARLS」(パールズ)に加入した。
日本代表での初めてのテストマッチは2012年5月19日の香港戦。2024年10月11日のウェールズ戦(WXV/女子の世界大会)までに47戦の国際舞台を経験している(女子日本代表47キャップは最多)。
代表選手としての活動は13年間と長い。2度のワールドカップで戦い、さらに今年8月、9月に開催される同大会に向けても走り続けるのだから、そのタフさは驚異的だ。
2019年には、南早紀とともに女子日本代表選手として初めてバーバリアンズ(世界のトップ選手で構成されるもの)にも選ばれている。
2024年には、日本選手初のスーパーラグビーアウピキの選手にもなった。チーフスマナワに所属し、世界トップの女子ニュージーランド代表選手たちと日常を過ごし、戦うという貴重な時間も過ごした。
ニュージーランドで暮らして得た体感には、サクラフィフティーンが世界と伍すためのヒントが隠れている。
王国の選手たちは、大きくてパワーもある上にパスをいろんな体勢からつなぐ。「こうしなければ」ではなく、受け手がいろんなところからボールが飛んでくることを前提としているからプレーが連続する。
自分たちもそうしなければ。そして、それを止められないと彼女たちには勝てない。
「でも、私が低くなるしか止められないと思ってプレーすると、こんな低いタックルされたことないって言うんです。日本人はみんな、そんなにチョップタックル(足へのタックル)するのか、と」
世界のトップと、とても高く見ていた選手たちとの本当の距離を体感した。
「なんや、普通の人間なんやな、と」
年齢の重なりとともにラグビーが、さらに面白くなっている。「引退も近いのに」と言ってケラケラ笑う。
「もっと若いうちにいろんなことが分かっていたら、と思うことがたくさんあります」
飾らないトークの中に意欲と意識の高さが隠れている。
▽ラジオ番組について
ラジオNIKKEI第1で2月3日夜6時から全国へ放送。radiko(ラジコ)のサービスを利用して、PCやスマートフォンなどで全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。
放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。U-NEXTでも配信予定。2月10日の同時刻には再放送がある。