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【Just TALK】「いいキック蹴るね。次、何してくるの?」。萩井耀司[明大1年/SO]
アタック時だけでなく、ディフェンスでも体を張った。(撮影/松本かおり)

【Just TALK】「いいキック蹴るね。次、何してくるの?」。萩井耀司[明大1年/SO]

向 風見也

 抜擢された。

 明大ラグビー部1年の萩井耀司は12月1日、関東大学対抗戦の最終節で司令塔のスタンドオフを務めた。9月8日の初戦(北海道・月寒屋外競技場/対青山学大/○73-17)以来の先発出場を果たした。

 早大とぶつかる伝統の早明戦、しかも第100回という記念すべき一戦で大役を託された。

 身長173センチ、体重79キロの18歳。桐蔭学園高3年時は春の全国選抜大会、冬の全国高校大会で2冠。その後に選ばれた高校日本代表では、このほど早大で対面となった服部亮太とも一緒に戦っている。

 キックオフから、服部とのキック合戦はし烈を極めた。向こうが得意のロングキックを蹴り込んできたかと思えば、萩井は高低の弾道を織り交ぜて対応。特に、両コーナーへのハイパントで活路を見出そうとしていた。

——主にハイパントを活用していました。

「服部にはいいキックを蹴らせない。(早大のフルバックの矢崎)由高くんにはいいランをさせない。その意味で使いました。あとは、前半、太陽が早稲田側に向いていたので、それも考えました」

——まぶしい太陽を背にした前半は、キャッチする際に空を見上げなくてはならないキックを多用したのですね。同時に、相手の足元を狙うような低いキックも見られました。

「ダイレクトでキャッチをさせたらいいキックが飛んでくるとわかっていたので。少しでもバウンドさせ、(早大の捕球役に)プレッシャーを…と」

——このステージでご自身が力を出し切れたのはなぜだと感じますか。

「いい準備ができたからだと思います。試合前日までに、どうやって勝ちたいのかをスタンドオフとして考え、早稲田がどんなアタック、ディフェンスをしてくるのかをビデオで見返しました」

100回目の早明戦に出場した両校の1年生たち。萩井は右から2人目。(撮影/松本かおり)


 このルーキーの働きを、神鳥裕之監督は賞賛した。

「自分の役割を遂行し、期待に応えてくれた。彼の出ている時間帯に(明大が)しっかりゲームを作れたことは、それを証明しているのではないかと思います」

 明大1年の白井瑛人は、萩井とは高校時代からの同級生だ。以前は萩井がスタンドオフ、白井がセンターという間柄で、この日はウイングでスターターを担った。今度の萩井のパフォーマンスについて、こう述べた。

「桐蔭時代から10、12(番)で組んでいて、阿吽の呼吸というか、やりそうなことがわかる。自分からもサインプレーを提案したなか、いいコントロールをしていたと思います」

 両軍がキックと堅守で試合を盛り上げるなか、萩井は10-12と2点差を追う後半9分まで働いた。残りの時間の舵取りを2年生の伊藤龍之介へ託した。

「もっと、プレーしたかったです」

 24-27での惜敗を受け、取材エリアで複数の記者にこう応じた。

——きょうの出来に点数をつけるとしたら。

「50(点)くらいですね。もうちょっとできました」

——ちなみに早明戦での1年生スタンドオフ対決は、2007年度の早大・山中亮平選手(コベルコ神戸スティーラーズ)対明大・田村優選手(横浜キヤノンイーグルス)以来となります。来季以降の服部選手との対戦について、思うことは。

「勝ちたいという気持ちはあります」

——きょうの服部とのバトルについて。

「凄く楽しかったです。こんなに大きな舞台でプライベートでも仲のいい亮太と試合ができたのはよかったです。試合中も、喋ることがありました。『いいキック蹴るね』、『次、何してくるの?』と。お互いに、です」

 大学選手権には14日の3回戦から登場する。その日は東京・秩父宮ラグビー場で、関東大学リーグ戦3位の東海大に挑む。


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