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パリに到着して3日、まだ青空を見ていない。
日本代表がフランス代表と戦うこの日も曇天。そして寒いなあ。
テストマッチは夜の9時10分のキックオフのため、午前中は時間があった。お世話になっている方々が多いクラブチーム、パリジャパニーズの試合に足を運んだ。
通称パリジャパ。このクラブには愉快な人たちが多い。一人ひとりのバックグラウンドが違うものの、みんな、仲間や家族を巻き込む活動が当たり前だから楽しい。
この日も、幅広い年齢層の人たちが集まっていて、個性的なメンバー編成だった。
パリ郊外の、対戦相手のグラウンドでおこなわれた定期戦。相手は『Les Frogsbeef』というクラブだった。フランス人とイギリス人が中心となっている。
クラブ名の由来がおもしろい。Frogはカエル。イギリス人はカエルを食べるフランス人のことを以前からフロッギーと呼んで馬鹿にしているらしい。逆にフランス人は、「君たちにはローストビーフしかないだろう」と対抗してきた。
そんな歴史背景から付けたクラブ名だという。
試合は、その英仏連合クラブが勝ったが、パリジャパの選手たちの体を張ったプレーが印象に残った。
試合後はグラウンドの脇でアフターマッチファンクション。パリジャパ側が調理する焼きそばが大人気だった。
一度ホテルに戻って、テストマッチ取材に向けて早めに現地へ。地下鉄を乗り継いでの移動も、ワールドカップ時のような混雑はなく、なんだか華やいだ雰囲気がなくて寂しい。
駅からスタジアムへの道も混雑はなく、スムーズに移動できた。
試合前、光と音を駆使したスタジアム内の演出は素晴らしく、観客がまとまって出す声のボリュームは相当なものだった。
スタンドの3階席に人は入れておらず、8万人収容のところ、約5万人の観客数だったらしい。それでも、ホームチームに送られる声援は、青いジャージーの背中を押し、サクラのジャージーにとっては強いアゲインストとなった。
試合はご存じのとおり、12-52と日本の完敗だった。フランスの9番、アントワンヌ・デュポン主将の存在感は素晴らしく、強烈なリーダーシップでチームを動かしていた。
試合後、同じトゥールーズに所属、プレーしている齋藤直人の言葉が印象に残った。
デュポンと対峙して感じた凄さを、「常にスペースを探している。相手にまわして、そういうところのうまさを感じました」と話した。
「視線ひとつでプレッシャーを与えてくる。やりづらかったです」
スクラムで踏ん張り、思い切ったランも見せたPR竹内柊平は、大型パックと組み合えた理由を「ジャパンハイト」とした。
「自分たちの低さで(組むと)一貫してプレッシャーはかけられた」とし、「後半の1つめのトライの起点は、スクラムでのプッシュでした。自分たちが思っているような、いい絵を見られた」と話した。
PK時、自らボールを持ち出してビッグゲインしたシーンについては、「エディーさんからアグレッシブにいけ、という指示があった。あのときは前が空いていたのでクイックでいきました」と振り返った。
ただ、フランス代表の力強さが印象に残ったという。
「フィジカルが強く、他国相手のときにはゲインできたようなシーンでも返された。一貫して姿勢を低くしていかないと、と思いました」。
負傷した立川理道主将に代わり、後半11分からピッチに立った松永拓朗は、この試合が日本代表として2キャップ目ながら、落ち着いてプレーした。
試合後は「スキルセットにはまだまだ課題がある」としながらも、「とにかくテンポをあげろ、という指示が出ていたので、(SH藤原)忍と一緒にそれを考え、プレーしました」とピッチに立った30分について説明した。
ハーフタイムに、「もっと(プレーの)裏表のオプションを使おう」と指示が出た。それを実践したことで、「相手の大きなタイトファイブを動かせたと思います」。
「ボールを動かしてアタックすれば前に出ていける」と手応えを感じた。「後半は相手FWが走れなくなり、ジャパンは走った。結果、テンポを生み出せた」と振り返り、「いい経験を積めていると思います。スキルをもっと伸ばしていきたい」と向上心を示した。
夜9時過ぎのキックオフは辛い。試合が終わり、記者会見、ミックスゾーンでの取材を終えると午前1時前後になる。
それから記事を書くと、寝るのが明け方の5時。なかなかハードだ。
その影響もあり、パリ4日目(11月10日)は遅めの起床から、ホテルの近辺をうろうろしただけ。カフェでくつろぎ、早めの夕食をベトナム料理店で済ますと、あっという間に一日が終わった。
11月11日には、ウルグアイ戦がおこなわれるシャンベリーへ。初めての場所が楽しみ。