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【日本代表】「ハルさんは、盗みたいものをたくさん持っている」。松永拓朗(SO/FB)
172センチ、82キロの26歳。天理大時代に大学日本一。(撮影/松本かおり)
2024.10.20
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【日本代表】「ハルさんは、盗みたいものをたくさん持っている」。松永拓朗(SO/FB)

田村一博

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#日本代表

 強烈なタックルをいくつも喰らいながら、すぐに起き上がって立つべき位置に向かう。
 超速ラグビーは忙しい。
 その日、松永拓朗は背番号10を付けていた。

 10月19日、宮崎合宿でおこなわれている日本代表合宿のトレーニングは実戦形式でおこなわれ、激しいコンタクトシーンが繰り広げられた。
 松永は、今回から日本代表に加わった。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(以下、HC)から、「10番と15番の両方をできるように」とリクエストされている。

 リーグワンを制した2023-24シーズンは、東芝ブレイブルーパス東京で全18試合中17戦に出場。そのほとんどがFBでのプレーだったが、リッチー・モウンガが戦列を離れた際はSOでも先発出場した。
 貢献度の高いプレーと安定感で優勝に貢献した。

 激しいアタック・ディフェンスがおこなわれた前日(10月18日)、超速ラグビーは楽しいか、難しいか、と問われて「そういったことを考える余裕もない」と答えた。

 初めての代表招集。右も左も分からない中で、天理大時代の同期、SH藤原忍やCTBシオサイア・フィフィタがいてくれることを「心強い」と感じている。
 一日の動きや流れ、トレーニングによっての服装コードなど分からないことばかり。そんな時、誰に聞くべきか迷うことなく、同期に尋ねられる。

 今回の代表発表(10月10日)の1週間前には、本人に吉報が届いていた。待ちに待ったしらせ。「(高いレベルに)チャレンジできる嬉しさと緊張を感じた」と初々しい。

 選出された事実は、誰に口止めをされるわけでもなく、プレスリリースが出るまでは沈黙を通した。
「はやく(藤原)忍にも伝えたかったのですが、フタを開けてみたら自分がいないとか、忍がいないとか、そういったこともあると思ったので」
 そんな心配も杞憂に終わった。

ブレイブルーパスでも指導していたダン・ボーデンが代表アシスタントコーチを務めているのはアドバンテージ。練習メニューやサインプレーは、「言葉は違うけどやったことがあるものもあります」。(撮影/松本かおり)

 大阪産業大学附属高校出身。天理大で大学選手権を制した後、2021年の春にブレイブルーパスに加わった。
 一歳違いの弟・貫汰はコベルコ神戸スティーラーズに所属。2月の代表コンセプト合宿には、弟が参加した。

「(今回の合宿に)弟もいたら、それはそれで僕にプレッシャーがかかったと思うのですが、いつか一緒に代表でやれたらいいですね」と話す。

 2022-23年シーズンもブレイブルーパスで全戦出場するなど、国内シーンで抜群の成績を残しながら、なかなか招集されなかったが「焦りはなかった」。
「(2027年の)ワールドカップまではまだ時間がある。今年や次のリーグワンで活躍すればチャンスは巡ってくると思っていました。それがちょっと早く来た感じです」

 ジョーンズHCに「持っている強みを出してプレーしてくれ」と言われた。
「自分ではコミュニケーションをとって、周囲を動かす。ボールも動かす。そして、自分もランできたら最高。それが強みと思っています」とする。

 代表活動に加わって、まだ数日。「学んでいる途中。いろいろ難しいところもあります」と言いながらも、「だいぶコミュニケーションも取れるようになった」と手応えがある。

「シェイプの動き。チームが求めている超速とはどういうことか。ディフェンスで、どうプレッシャーをかけるのか。詳細をだんだん理解できているので、頭で考えずに動くことができたらな、と思っています」

 大学の先輩ではあるものの、以前はテレビの中の人だった立川理道と同じチームにいる。
「(立川が)ふわっと蹴ったキックが、僕が頑張って蹴ったものより、いい結果になる。力を抜くことが大事なんやな、とあらためて思いました。ハルさんは、盗みたいものをたくさん持っています」

 その尊敬する先輩や周りの選手にいろいろ聞き、言葉を覚え、まず動いてみる。それを繰り返す以外に成長の近道はない。

 10月26日にはオールブラックス戦が控える。「相手がどことか関係ない。もし出られたら、自分を表現したい」と胸が高鳴る。
「出せるパフォーマンスを出し切れたら、最高の初キャップになります」

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