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【Just TALK】「お尻をもっと強くしないと」。海老澤琥珀[明治大学2年]
日本代表活動に加わり、意識が高まった。(撮影/松本かおり)

【Just TALK】「お尻をもっと強くしないと」。海老澤琥珀[明治大学2年]

向 風見也

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 明大ラグビー部2年の海老澤琥珀はこの夏、日本代表に入った。

 8月10~16日の宮崎合宿などに参加。9月までにはチームへ戻り、関東大学対抗戦Aへ挑んでいる。

 身長173センチ、体重81キロと決して大柄ではないが、運動量ときれ味鋭いステップを長所にWTBとして活躍。報徳学園高時代には高校日本代表に選ばれなかったものの、今年7月には20歳以下(U20)日本代表としてワールドラグビーU20トロフィーに出場した(スコットランド・エディンバラ)。

 現在の日本代表では、約9年ぶりに復帰したエディー・ジョーンズヘッドコーチが若手を抜擢。件の合宿には、海老澤を含む計4名の大学生が正規スコッドもしくは練習生として帯同していた。

 海老澤が代表活動の感想を語ったのは9月28日。神奈川・小田原市城山競技場での日体大戦で今季の対抗戦初先発を飾り、101-0のスコアで開幕3連勝を決めた直後のことだ。

「もっと明治のラグビーにフィットしないといけない」。(撮影/向 風見也)

——日体大戦。自らトライを決めたほか、持ち場と逆の右サイドに回ってチャンスを作っていました。

「僕の持ち味はボールを持っていないところ。(チーム戦術上)WTBは自由に動く。そこは自分の持ち味でもある、11、14番でゲームのチャンスを作っていく。

 スタートで出たのは久しぶりでした。前回、前々回はリザーブで出ていたのですが、その時は納得のいくラグビーはできていなかった。(再合流して間もないため)まだチームにフィットできていない部分もあると思うので、もっと理解して、フィットできたらいいのかなと思います」

——チームが夏合宿をしている間、日本代表の活動に加わりました。何を学びましたか。

「(招集された)大学生は皆、言っていると思うんですけど、意識が大学レベルとは違っていて。練習への姿勢、準備。その差を、僕は感じました」

——その点で印象的だった選手は。

「誰、というのはなく、全員がグラウンドに出ていく時間も早く、トレーニング後のフィードバックも(緻密)。僕は根塚(洸雅=クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)さんが(ホテルで)同じ部屋で、毎回、自分のプレーを評価してくれた。それが役に立ちました」

——いまのプレーに反映されていることは。

「ジャパンでも自分のワークレート、走り回ることを(意識して)やっていたので、それは(明大でも)活かせているかなと」

——8月下旬から、日本代表はパシフィックネーションズカップ(PNC)に臨んでいました。海老澤選手が一時期ともに過ごした先輩たちのバトル。親近感も抱いたのではないでしょうか。

「『僕が、ここに、いたんだ』という気持ちが大きかったです。行っている最中はそう思わなかったんですけど、(試合を)見ると、あらためて、『僕が、ここ(日本代表)で、できていた』と。…何というのか、いい経験になったし、価値のあるものだったと実感しました」

——PNCで準優勝した日本代表のトレーニングにおいて、海老澤選手自身にもいい手応えがあったのですね。それが自信に繋がった。

「そうですね。自分のランが通用することもあったし、ディフェンスも穴にはなっていなかったと思います」

——明大に戻る前、エディー・ジョーンズヘッドコーチからはどんな言葉をかけられましたか。

「(早大2年で6月に代表デビューの矢崎)由高は凄いけど、お前も『こいつは誰なんだ!』と周りに思わせるように大学で目立ちなさい。…そういう言葉を、いただきました」

——これは海老澤さんが個人で解決できる問題でないのを前提に伺います。きょうは100点ゲームとなりました。将来を見据えると、もっとタフな試合を経験する場があればよいように映ります。その点を、個人的にはどう捉えていますか。

「明大は、相手によって(スタンスを)変えることはない。秋は自分たち(の積み上げたもの)を100パーセント出す方針だと思います。そこで学べることもありますし、今回も100パーセントよかったわけではない。その学びを活かして高まるうち、成長できたらいいと思います」

——いまの目標は。

「まだ明大のラグビーにフィットしたとは言えない。少しずつ試合を重ねていくうちにフィットして、奪還(2018年度以来となる大学日本一を達成)できたらいいですね」

 明大での活動に専念する傍ら、代表側から託されたメニューにも取り組んでいる。長らく日本代表で活躍するディラン・ライリーの名を挙げて言った。

「代表で学んだスピードトレーニングを持ち帰って、毎日20~30分はやるようにしています。コア(体幹)、お尻(の鍛錬に注力)。自分は、(足の)回転数はあるので、その可動域を広げられるように、と(いうイメージ)。お尻をもっと強くしないといけないと言われています。ライリーさんみたいに、1歩、1歩を、強くする。(目標の)数値もいただいているので、そこを目指したいです」

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