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9月21日から、アジアセブンズシリーズ/杭州(中国)が始まった。
初日プール戦の男子日本代表は、初戦のマレーシア、2戦目のUAEと勝利を重ね、最終戦で、7人制ではアジアでトップクラスの実力を誇る中国と対戦した。
この一戦を落とすと2日目のトーナメント準決勝でもう一つの実力者である香港と対戦となるゆえ、なんとしても勝利し、有利に駒を進めたいところだった。
試合は、コンタクト力で上回る中国が先制した。
さらに2トライ目も重ねて0-12と厳しいムードが漂う中、前半終了間際には⑦大和哲将のトライで7-12と折り返した。
後半も攻めの主導権は中国だったが、それをぶち破ったのが⑥中野剛通だ。セブンズでワークレートとの言葉は少々似つかわしくないが、骨惜しみしない動きを随所で見せ、好プレーを出していた。
中野は、ジャパンセブンズ準優勝の大阪府警より抜擢された⑨白國亮太からのパスを貰うと、タッチライン際の狭いスペースを突く。豪快なステップ一閃、相手を抜き去ると50メートルを走り切って反撃の狼煙をあげた。
その後、中国もさらに1トライを返して14-19と厳しいスコアが続く中、終了間際、残り数秒で①山口泰輝のトライがポスト下に決まる。④吉澤太一がなんなくゴールを決め、逆転勝利をもぎ取った。
2日目のトーナメントは、2敗しながらも得失点差でプールAの2位となった韓国と準決勝を戦う。
そしてさらに勝ち進めば、プールAで失点ゼロと高いボール保持力を見せた香港、あるいは初日に死闘を繰り広げた中国と対峙することになる。
女子代表は、プール3戦ともゼロ封完勝で決勝トーナメント進出を決めた。順当にいけば、女子では高い実力を誇る中国と、決勝で対戦する予定だ。
◆徐々に根付くラグビー観戦。
大会の会場となったのは昨年の杭州アジア大会でもメイン会場の一つとなった杭州師範大学。国の重点大学には指定されていないが、アリババグループの馬雲(ジャック・マー)の卒業校として知られており、彼からの巨額な募金により構内施設が整っていると言われる。
陸上トラックの存在に加え、なぜかスタンドの7列目までは運営用に確保されている。客席からは、フィールドが非常に遠く感じる。
ペットボトルの持ち込みなどに関しては、細かく安全検査がある。それをクリアして入場している観客は、多く見積もって300名ほど。観客数の少なさもあり、各地のセブンズ大会にあるお祭りムードがないのは残念だ。
飲み物の持ち込みを制限している割に飲食物販売は手薄だ。
その中にはビールブースもあるのだが、なぜか「展示」のみで「販売」禁止。ましてや飲むことなんぞ……。
セブンズの観客席にはビールが似合う(似合い過ぎるので南スタンドに限定されている香港も含めて)と信じている私にとっては、少々残念な光景だった。
しかし、展示(?)ブースのお姉さんの「ごめんね」の微笑みに救われた。
中国チームへの応援は凄かった。「中国隊、加油!(がんばれ)」のコールが一旦始まると、人数が10倍に増えたかのような大声援が繰り広げられた。
「だってホームゲームでしょ? 勝たなければならないし、勝つためには声援を送らなくちゃ」と周囲に国旗を配っているおじさんが話していた。
女子チーム(パリ五輪6位)の躍進もあり、10年前、20年前と比較すると、徐々にではあるがラグビーの存在が認知され始めている中国。女子はすでにアジアのトップと言っていい。男子もトップクラス。今後も、日本と切磋琢磨していける隣国であり続けそうだ。
◆男子セブンズ日本代表 大会第1日(9 月 21 日)試合結果
<プール B>
第1戦 日本 40-12 マレーシア
第2戦 日本 29-14 UAE
第3戦 日本 21-19 中国
◆女子セブンズ日本代表 大会第1日(9/21) 試合結果
<プールD>
第1戦 日本 48-0 UAE
第2戦 日本 60-0 マレーシア
第3 戦 日本48-0 香港